プラモデルをうまく作れそうな予感がするときっていうのがあって、それはプラモデルと自分の相性とかその日の精神状態とかモチーフへの思い入れとかそういうものが関わっていると思う。
エレールの1/72 コードロン CR.714はなにか、そういうフィーリングの気持ちよさみたいなのがあって、それはきっとパーツ点数や大きさといったものや、洋服で言う生地の風合いに相当するプラの質感からくるものだろう。
作っていると、ピシッとした薄さのパーツを組み合わせていくことが気持ちいい。柔らかさも多少あるのか、貼り合わせも容易で、職場や学校でなんとなく「こいつとは仲良くなれそうだな」と思えるあの感じに似た印象を持ちながら作成を進められた。

久しぶりに塗装ををしようとも思っていたのだけど、こうやってなんだかうまくいきそうなプラモデルに腕によりをかけて作ろうとしているときに心の中で言うひとことがある。
「自分よりうまい人は、こんなことしない」
細かなパーツを貼るときに接着剤が乾くのが待てなかったり、塗装をするときに撹拌を適当に済ませたりとか、筆に塗料を付けすぎたまま塗装を始めようとたり、といった手抜きや無意識に行う癖、いや「自分だったら失敗しない」みたいな気持ちが起こす失敗を打ち消す魔法の言葉なのだ。

実際、こういうことを考えられる状態というのは余裕があるのでプラモデル製作は滞り無く終わることが多い、ただ過信しすぎて一度でも失敗すると危うい状態に陥りかねないのが厄介なところ。「さっきまでは上手く行ってたのに」と何度頭の中でCtrl+Zを押したことだろう。

プラモデル作りは慣れてくれば上手くなるし、失敗もしなくなる。これは慣れてからうまくなったように感じるし、失敗が目で見えなくなってくるということでもあるという面もある。そこに、「今の自分よりも上手い人」を頭の中に召喚できればきっともっと上手くなると思うのだ。
気が急いているとき、少し自信のない作業をするとき、一呼吸置いて唱えてみよう。
「自分よりうまい人は、こんなことしない」と。