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【レビュー】貼らなくても、塗れれば。/悩みが刺激の隠密ガンダムエアリアルを作る

 SDW HEROESのプラモデルは、なんだかんだで一番「やってるな」と感じさせるシリーズだ。ここでいう「やってる」とは、造形が派手だとか色が刺激的だとか、そういう話だけではない。作る側を面白がらせながら、同時に悩ませもする。その塩梅の良さのことだ。どちらにせよ脳への刺激はなかなかなもので、隠密ガンダム・エアリアルもまさにその一つ。

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 全体を通して印象的なのはシールだ。眼帯や鎧の一部にはクリアパーツが使われていて、パーツとシールを見比べると手が止まる。眼帯などは特にそうで、このキットは「すべてを説明書通りに仕上げなくても、別のかっこよさがあるのではないか」という選択を迫ってくる。

 一方で、シールしかないからこそ、いかんともしがたい部分も残る。豪華なディテールは必ずしもシールファーストでデザインされているわけではないからだ。複雑に盛り上がった箇所に完全に追従させるのは至難の業だし、切れ込みが入っているものであっても、いかにテンションを逃がせばシワを寄せずに貼れるかなど考えることがあり、作っている感がかなり高い。

 こうした作業に没頭していると、子供の頃の感覚が急によみがえる。綿棒やつまようじを使いながらシールを貼ったあの日のことだ。「塗装さえできれば……」と思ったこともある。大人なら道具を自分で買えば済む話だが、子供なら親にねだるところから始まる。「金色に塗りたい」だけでは足りず、「そのためにこの道具が必要なんだ」と理由を話さなければならないかもしれない。プラモデルを作るという行為が、いつの間にか「他者への相談」というテーマにまで発展していくのではないか、と思いを馳せるなどした。

 実際のところ完成させてみれば、シールだけでも十分に満足のいく出来栄えで、その点は抜かりなしといったところ。キラキラしたシールをきれいに貼り終えた達成感も良いものだ。それでも、要所要所で悩み、理想を思い描かせてくれるという点は、自分で手を動かしてものを作るうえで非常に大事な気がしている。

 プラモデルとしては襟巻きの表現は特に目を見張る場所だ。頭部パーツの後ろ、それも内側にはめ込む構成には意表を突かれたが、2パーツで構成されているからこその「揺らぎ」が見事である。完成へ近づくにつれ、胸の上にはみ出したクリアパーツが襟巻きの一部として機能し始めることに気づくと、「そう見せるのか」と深く感心させられた。

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クリスチのプロフィール

クリスチ

1987年生まれ。デザインやったり広報やったり、店長やったりして、今は普通のサラリーマン。革靴や時計など、細かく手の込んだモノが好き。部屋に模型がなんとなく飾ってある生活を日々楽しんでいます。
Re:11colorsというブログもやっています。

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