知らない曲線が包み込む、「かわいい」の深層をなでる。

 PLAMAXの「ミリタリーキューティーズ アリエ」を作ったのだけども、とても楽しかった。

 このキットのポイントはイラストを手掛ける山下しゅんや先生の「かわいい」が原型師の太刀川カニオ氏が思う「かわいい」で形になっているところだと思う(さらに言えば、パーツ分割やパッケージ、説明書を作ったりする方たちの「かわいい」も)。つまり「かわいい」のトンネルをいくつも通ってこのこの女の子は出来上がっている。一貫してかわいい。なんなら大きさもティースプーン程度でかわいい。

 この手のイラストのかわいいは割とすぐに理解できる人も多いだろう。かわいいものを見て「あ、かわいいな」と思うあの感じ。ただ、理由はと聞かれるとそうもいかないのではないか。そんな中で、ミリタリーキューティーズはかわいい理由を手軽に吸い込める感じがする。

 「自分はこれから箱の絵の女の子を作るんだな」と思いながら箱を開けたのだけど、ハッとしたのは手だった。どのキャラクターを組むかは、顔とか全体の色味とかそういうので決めたのに。微妙なニュアンスの利いた手の表情がとっても美しく「ああ、こういうところにセンスってあるんだろうな」とすぐに思った。他のパーツもすごい。派手すぎない、落ち着いたトーンでまとめられた成型色。パーツごとの濃度が濃い一体成型。

 ああ、やっぱりこれ「かわいい」を作らせようとしているなってすぐに分かる。

 組立自体はさほど難しいことはないのだけど、知らない曲線がどんどんできる。腕のカーブや細さ、膝の曲がり具合とか太もものムチッとした感じ。日頃何かを見て「かわいいな」と思う感覚はあれど、それがどういう要素で作られているかなんて全く知らなかった。イラストレーターの、原型師の目が手を通じて共有される。

 身体に脚がついたときに「これがかわいい角度だ!」と知ることができたり、指の先まで行き届いた演出が目の前に誕生する。はっきり言って、すごすぎる。しかも作ったのは私だ。プラモデルはこういうところがホントにすごい。

 知らない曲線が生み出す「かわいい」を味わうのはとにかく最高の体験だと思う。

 普段は写真の話はあまりしないけど、組立途中を持つ、私の手がかわいいの邪魔をしている。それくらいに、かわいいのだ。それでいて、ミリタリーキューティーズの女の子の種類も多いので好みの子が選べるのも楽しい。しかも、色を塗らなくて良いのも楽しい。

 瞳はデカールなのでちょっと頑張る必要があるけど、複数セット印刷されているので失敗も怖くない。顔は日頃の自分の知ってるかわいいをどこまで出せるかが腕の見せ所だと思う。目の位置なんていうのは「目鼻がつく」なんて言葉があるくらい重要なのだけど、そこに作り手のセンスが出るのも面白い。というか、顔だけを気軽に楽しませてくれるのがよかった。

 私は気持ちツリ目になったかな。そういう人が好きってことで。

クリスチ
クリスチ

1987年生まれ。デザインやったり広報やったり、店長やったりして、今は普通のサラリーマン。革靴や時計など、細かく手の込んだモノが好き。部屋に模型がなんとなく飾ってある生活を日々楽しんでいます。
Re:11colorsというブログもやっています。