働けないボクと、働くプラモ。

 普段通りの平日の朝、出勤時間に間に合うようにセットしたアラームが鳴る。身体を起そうと力を入れると、首から背中にかけて体験したことのない激痛が走った。

 「ウッ……!?」 何が起こったのか分からず再び布団に倒れこむ。

 今度は身体を横にし、痛みに耐えながらゆっくりと起き上がる。普段のように、軽めの朝食を取り、暖かい格好に着替え、会社へ向かわなければ。しかし、何をするにも首に激痛が走り思うようにいかない。勤務先へ連絡を入れ、激痛に耐えながら最寄りの整形外科へ歩いて向かうことにした。

 「首のヘルニアですね。」 医者からそう言われた。「今から点滴を打って、あとは3日ほどでマシになるので自宅で安静にしていてください。」

 つまり、仕事に行けなくなってしまった。普段はあんなに休みが欲しいと思っているのに、身体を壊して仕事を休むとなぜこんなにも罪悪感に襲われるのだろうか。しかし安静と言われても、今から数日間寝ているだけではあまりにも退屈すぎる。今の自分に適した、短時間で味わえるプラモデルの在庫はないだろうか……。

 あった。フジミの1/32フィギュアセット。さまざまな職種で活躍する5人の男女が入った欲張りセットである。このキットなら、働けなくなったボクの無念を軽減してくれるに違いない(ちなみに上のリンクは表記ミスのようですが、中身はちゃんと1/32なので安心してください)。

 いきなり、パンチパーマのキマったガンコ親父が出てきてしまった。トラックドライバーの彼は、ギャンブルと酒と女が大好き(妄想)。口に空いた穴はランナー左下にある極細のタバコを切り取って咥えるためにある。

 「首の痛みィ!?そんなもん気合で耐えろや!」気難しそうな彼にそう怒鳴られてしまった。

 次も堅物そうな男性と対面した。作業員の彼は、その巨体で重そうな箱を運ぶ仕事に就いている。

 「日頃から身体を鍛えてないからそんなことになるんですよ。」ものすごく説得力のある一言を浴びせられる。

 いよいよ紅一点、バスガイドの女性だ。満面の笑みが素敵で、腕の仕草も2パターンから選んで組み立てられる。

 「正面に見えますのが、仕事をサボってプラモを組んでいるサラリーマンでーす。」えっ、あなたも毒舌なの?

 そんな個性的な5人に次々と出会うことができた。きっとみんな自分の仕事に責任や誇りを持っているのだ。
きっと身体の痛みに耐えながら仕事をしている人もいるに違いない。それなのにボクは……。

 「人という字は、人と人と人と人が私を支えている字なんでーす。」バスガイドの彼女が声高らかに叫んでいる。

「「「手もとヨシ!足もとヨシ!今日も一日ご安全に!」」」彼らには大切なことを教えられてばかりだ。

 久しぶりにプラモを組んだら首が悪化したので、明日も仕事休んじゃお。

たまごん
たまごん

ごく稀に真面目にプラモデルを作るらしいが、基本的には酒の力を借りながら夜な夜なミキシングでモンスターを生み出す等の活動に力を入れている。