超天才設計をなぞり倒し気づきまくろう。/タミヤ 1/48 Me262

 「世界は誰かの仕事でできている」なんてキャッチコピーがありましたが、仕事の帰りにスーパーに寄れば野菜は農家の人が作ってるし、会計はレジの人がレジ打ちをしているからできたりして……と、少し意識を傾けただけで「じゃあその買い物かごは?」とか、「そもそも帰りに乗った電車は?」と、さまざまなものが自分以外の誰かによって作られていて、そういう意味では私が週末に作るプラモデルにも設計する人がいるってことになるんですよね。
 
 こんなふうに設計へ目をやると、タミヤの文句なしのパーツ精度の模型たちにも頭が下がります。なにせストレスゼロで完成まで連れて行ってくれる。安心でブレがない。1/48のMe262はまさにそんなキットで、設計した人は天才だと言いたくなる。これを設計した人の他のプラモも作ってみたい。

 コックピットの小さなパーツたちがピタッと精密に収まる様子に切れ味が良すぎる”ヤバさ”に気づきます。まるで、切られたことすら気づかせない凄腕の剣士にやられたような感じ。続いて機銃周辺を作ろうとするとこちらも細かなパーツたちがビシッと決まる。正直な話、ちょっと精度が良すぎて怖い。

 そして前輪周辺。重りを兼ねたずっしりとした金属パーツにプラスチックのパーツを巧妙に組み合わせていくわけですが、金属とプラは接着剤でつける必要はありません。この辺でどうにもこのプラモデルを設計した人はめちゃくちゃに頭が良いっぽいと気づいたというわけです。

 このMe262は少し変わった組立手順をさせられます。序盤で前脚を作らされてボディに脚が生えた状態を作ることになります。普通の飛行機プラモなら胴体、翼、脚というような順番でいくわけですが、変わってますよね。いつもと違うことを違和感なくやらせるって相当だと思います。

 完成までは本当に刀か何かに触れているような切れ味のすごさがずっと続きます。

 決まって欲しい翼の角度も、車輪の傾きも全部が全部シャキッと決まります。さりげないアンダーゲート、意味のある突起が最後までプラモデルを組み立てる面白さを味あわせてくれます。手は覚えているのに頭が覚えていないような小さな気づきたちは言葉にはならず、そのまま私の頭の奥に染み込んでいます。

 一人の天才が自分のためだけに設計したというわけではなく、一人の天才が誰でも作れるように考え出したという点に非常にグッとくるプラモデルです(一人かどうかはわかりませんが……)。こう書いてみるとプラモデルってすごいですよね。誰が作るかなんてわからないのに、誰でも作れるようにするという。自分だけができてもダメなんですよね。

 天才の痕跡をなぞるように、Me262を作るのは本当に楽しい時間でした。

クリスチ
クリスチ

1987年生まれ。デザインやったり広報やったり、店長やったりして、今は普通のサラリーマン。革靴や時計など、細かく手の込んだモノが好き。部屋に模型がなんとなく飾ってある生活を日々楽しんでいます。
Re:11colorsというブログもやっています。