
民俗学。地域に根付いた伝承、神話、伝統的なならわし、妖怪などを体系的に明らかにする学問のことです。その民族学を学問として確立したのは柳田國男。そして彼の生まれの地、兵庫県神崎郡福崎町。福崎町では、妖怪を前面に押し出した町おこしをしており、街のあちらこちらに等身大の妖怪がたたずみます。そんな地方自治体が販売しているのが妖怪プラモデル。
今回、ご紹介するのは当地の妖怪プラモデルシリーズ第二弾、「天狗」です。

記載はノンスケールですが、およそ1/20スケールというコンパクト、かつ、塗装しやすいサイズ(全高9cm)。筋肉フェチの私、指でなぞって愛でるだけでもゾクゾクします。自衛官のような絞り込んだ筋肉ではなく、総合格闘技選手のような適度に脂がのった闘う筋肉。胸板もさることながら背すじの筋肉の隆起など、ため息が出ませんか。

岩場の上に慄然と仁王立ちし、森をうねり抜ける風の音が聞こえるような躍動感のある腰布は、天狗をよりリアルに感じることができます。
大きくはばたいた翼は3パーツ(x左右)構成。1枚1枚まで細かく彫られた羽毛がびっしりと。3層構造なので、夏毛と冬毛で色を塗り分けてみても面白いかもしれません。

天狗にはどんなイメージを持っているでしょうか。私は、幼い頃、絵本で読んだベーシックな天狗が印象的でした。赤い鼻、ニコリともしない強面、白い翼、茶色の山伏コーディネート。今回は、空を飛び回る天狗をイメージして、翼をライトブルーに塗装しました。肌はいかにも天狗らしいレッド、腰布はヨモギのようなダークグリーン!
ベーシックなカラーリングにこだわらず、カラスのような闇落ちした天狗にするも良し、JR高尾駅にある巨大石像のようなグレーにするも良し。自由!楽しい!

パーツの接着は「デコプリンセス」のようなゴム系接着剤を盛るのがオススメです。一流模型メーカーのように嵌合がバチピタではないので、タミヤセメントのような溶剤系接着剤だと接着が甘くなります(接着面積が少ないのだ)。

組み立てていくとあらわれる存在感。特に、腰布の凹凸やねじり具合が絶妙です。漫画アニメにありがちなデフォルメのない、ストイックなデザインが気に入っています。民間プラモメーカーほど頻繁に再販されませんが、アニメ調のキャラクターモデルに飽きたあなた、筋肉を愛でたいあなた、手にとってみてはいかがでしょうか(記事執筆時点で、ヨドバシカメラにはまだ在庫があります)。
