
大きな船、かっこいいですよね(小林製薬)
船は基本的にプロペラと舵で航行しますが、港の中では操船が極端に制限されてしまいます。港内を他の船や施設を気にしながら走り、気象海象の影響を受けながら定められた岸壁に着岸しなけれならず、出港時もスピードがゼロの状態から岸壁を離れなければなりません。
舵の効きは舵に当たる水流の強さによるので、プロペラをブン回すわけにもいかずスピードが出せない港内では舵も効きにくく、横に移動することができない船が岸壁に着岸したり離岸したりするのは実は大変なことなのです。
ある程度までの大きさの船や、横移動できるサイドスラスターという装備を持っている船は自力で着離岸ができますが、大きな船になると自力では困難になってきます。
そこで活躍するのが、タグボートです。
小さな船体ながら大馬力のエンジンと360度自由な方向に推力を向けることができるプロペラを搭載し、大型船の着離岸をサポートする港の名バイプレーヤーです。
nippperでもフミテシさんが旧海軍のタグボートセットを紹介されていましたが、実は現代のタグボートのプラモデルもあります。

モデリウムから海上自衛隊の各基地に配備されているタグボート「YT58号260t型曳船」(1/700)です!

キットは2隻がセットになっています(お得!)。非常に小さいパーツが多いのですが、説明書の組み立て順序や方法がおもてなしの心に溢れていて実によく練られており、パーツの精度や合いも抜群なので「パーツがめちゃくちゃ小さい」という部分以外でストレスを感じることはないと思います。よくつまめるピンセットと、よく切れるニッパーを用意して組み心地を味わってみましょう!


完成するとものすごい精密感の指先サイズのタグボートが出現します。

海上自衛隊のタグボートは箱絵のようにグレー塗装なのですが、プラ板で少し改造して塗装を変えて民間のタグボート会社のようにしてみました。全国の各港にも民間のタグボート会社があり、それぞれの港のプロフェッショナルとして昼夜問わず作業に当たっています。

せっかくなので微妙に形を変えて、マストの色も変えてみました。
さっそく、タグボートで遊んでいきましょう。



タグボートの動きは主に「押し引きする方向」と「押し引きする強さ」で指示されます。たとえば「3時の方向、スロー(微速)で引け」「9時の方向、ハーフ(半速)で押せ」のように船長・艦長から指示があると、タグボートは即座にこたえます。



ここまでの動きをGIFアニメにしてみました。楽しい。

入港のときは逆に岸壁に押していきます。岸壁にはあらかじめ「N旗」という国際信号旗が立てられており、その位置に艦橋(操舵室)を合わせるように着岸しなければなりません。『電車でGO!』のように、ときにセンチメートル単位での着岸が求められます。


大海原を豪快に航行する大きな船はかっこよくてワクワクしますが、港の中で船を支援するタグボートのような小さな船があってこそ色々な船が安全に入出港し、活躍できるのです。
お手元の艦船模型のかたわらに、頼れる相棒・タグボートを置いてみませんか。