プラモがなければ自分で作る。/タミヤが教えてくれる「楽しい工作」の極意

 いろいろなプラモデルを楽しんでいると、ふとプラモデルとして製品化されていないものが欲しくなることがあります。世界中のプラモメーカーが多彩なラインナップを世に放っておりますが、それでも抜け落ちているラインナップがあるものです。そうなると、プラモデル化されるのをじっと待つか、既存の製品を改造するか、ゼロから自作するほかありません。

 今回は、ゼロから自作する方法の話です。

 プラモデルのような模型を自作するには適した素材が必要です。プラモデル大手のタミヤからは「楽しい工作シリーズ」という名前でプラスチック素材が販売されており、模型店やおもちゃ店で手に入れることができます。厚さや太さや形状など多くの種類があり、作りたいものに合わせて選ぶことができます。

▲板状のものが「プラバン」、棒状のものが「プラ材」とよばれています。

 また、パテという自由に盛り付けたり造形したりすることができ、乾燥・硬化すればプラスチック同様に硬くなり削り出すこともできる樹脂のペーストが各種販売されています。

▲乾燥によって固くなるスチロール樹脂や、化学反応で固くなるポリエステルパテなど、様々な種類があります。

 この世のたいていのものは板や棒を組むか、柔らかいものを固めるか、塊から削り出すことでできていますので、理論上はこのような素材があればたいていのものの模型は作ることができるはずです。

 私も「現代の日本の貨物船」という、プラモ化されていない模型が欲しくなってしまったので、自作してみたことがあります。

 船体は厚紙とホームセンターで買える発泡断熱材で成形し、表面にパテを塗りたくります。乾燥したら粗目の紙やすりで表面を整え、デコボコしているところにまたパテを盛る、という工程を何度か繰り返します。賽の河原でパテを盛ると鬼がやってきて紙やすりをかけてくるので、またパテを盛ります。そうすると次第に滑らかな表面になってきます。

▲ポリエステルパテを盛ったところ。この世のたいていのことはパテを盛って削ればなんとかなります。
▲パテを紙やすりで磨くと、プラモデルのように滑らかな表面に仕上げることができます。

 船体ができると、いろいろな構造物を作っていきます。ここでプラバンの出番です。作りたいものの縮尺に合わせてプラバンの厚さやプラ材の太さを選び、欲しいパーツの形に切り抜いて組み立てていきます。

▲0.5㎜の厚さのプラバンや、0.3㎜の厚さのプラバンをパーツによって使い分けています。

 すると、やがて船の模型が完成します。この模型は、すべてこれまで書いたような厚紙や断熱材などの素材と、タミヤのプラ材やパテなどの組み合わせでできており、特別なパーツや既製品は使用していません。

▲1/150の1スケールの貨物船ができました。全長50cmです。

 さらに、岸壁や倉庫もプラ材で作ってみました。100円ショップで買った網戸補修シートを使ってフェンスも作ってみました。

▲あえて逆光にしたりフェンスが手前に写り込む構図にすることで逆にリアルに見えないかな~という目論見です。

 自作の模型はもはや「プラモデル」ではありません。しかし、タミヤの素材たちはプラモデルの箱からはみ出した世界も「楽しい工作」として、すくい上げているのです。自作は決して楽な道ではなく、心が折れそうになることもありますが、そんなときにプラバンのパッケージに書かれた「楽しい工作」の文字が目に入ると、「ああそうだ、模型は、工作は楽しいんだよなあ」と思い出します。

 一度自作の楽しさを知ると、プラモデルになっていないものが欲しくなっても「作ってみるか!」と前向きな気持ちになりますし、プラモデルを引き立てる情景や脇役も作ることができるようになります。そんな中でいつしか義務感で模型を作ったり、評価が気になったりと純粋ではない気持ちが混じることもありますが、それでもやっぱり原点は「楽しい工作」であるべきなのです。

 透き通るような真っ白なプラ材に向き合うたびに、「君は模型を、工作を楽しんでいるか?」と問われているような心地がします。

■タミヤ 楽しい工作シリーズ 各種

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@cfueloil

1991年生まれ。山口県の小さな漁港出身。大きな港に就職し大きな船を見ているうちに船の模型が作りたくなり、フルスクラッチも始めた普通の会社員。