スパーっとカタチになったプラモって「Done!」という気持ちになって、次のプロジェクトに気が移ろいがち。しかもプラモって組んだあとから塗るのがむずい。プラモは基本的に塗って仕上げようと思ったら塗って組んで塗って組んで……と手順が入り組むものなのでね。そう、戦車以外は!!!!
戦車プラモは「カタチになった後からでも見えるところだけウワーっと塗ればOK」というものすごく心の広いジャンルなので、この10式もその教義に乗っかります。かっこよく楽しく組み上がって心が中学生時代にタイムスリップした私、ひさびさに筆で戦車の迷彩を塗るぞ!

戦車といえば迷彩塗装(そこ、黒森峰女学園の話はするな!)。迷彩塗装はいちど自分でやってみると「うっわ、いきなり戦車になったじゃん!ミリタリーじゃん!」となるので絶対にやってみてほしい。筆でいいんですよ筆で。筆でニョロニョロ〜って描けば迷彩にしか見えなくなるので、試してください。

自衛隊の戦車はだいたい茶色と緑の2色迷彩。そのものズバリのドンピシャでタミヤから発売されていますから、まずこれを買ってきます(どうしても有機溶剤が無理!という人は水性のタミヤアクリルでも同色が発売されているのでそっちを使ってもよい)。
上に示したリンクに見える色は全然イメージと違いますが、大丈夫。ビンを開けるといきなり「うお〜、自衛隊だ!自衛隊の色だ〜!」となります。

模型用の筆というのは面相筆みたいに尖っているか、平筆みたいに角が立っているものがほとんど。ゴッドハンドの神ふでには「平丸筆(絵筆の世界ではフィルバートと呼ばれる形状で、模型用としてはけっこう珍しい!)」というのがラインナップされています。水性塗料が得意なうぶげシリーズですが、ラッカー塗料も大丈夫でしょ。
あと大事なこと。ラッカー系の塗料を筆で塗るときは、筆や塗料がカピカピにならないようリターダーを1滴垂らしてから塗ると良いです。塗り進めていくうちにだんだんモッタリしてきたら、フレッシュな塗料を足して、リターダーをまた1滴。常に同じような粘性をキープし続けられるよう意識してね。

先が丸い平筆は、塗り伸ばすというよりもポンポンと表面を突くようにして塗料を乗せていくのが楽しいです。平らな方をナナメに押し付けるか、薄い方を垂直に押し付けるか……と、角度や向きを買えることで一度に塗料が付着する面積や形状が変わります。とにかく一気に色を付けようとせずに、ポンポン……ポンポンと様子を見ながら乗せていきましょう。

カドの尖った平筆(これはペンキを塗るようにペターっと引っ張って使うものです)では曲線的な塗り分けラインにパキッとエッジができたりして悲しいことがありますが、ラウンドした平筆なら導かれるままに叩いていけば勝手に「丸みを帯びた塗り」が広がっていきます。
もしムラができたら「味です」と大きな声で言いましょう。多少ボコボコした凹凸が表面にできても乾いたあとに「水性プレミアムトップコート つや消し」を吹けば勝てます。あと最後に汚し塗装をすればますます気になりません。
……っていうか、せっかく筆という手作業をするんですから、タッチがあったほうがいいんです。タッチ大事。タッチのない模型はつまらんです。そしてなにより大事なのは、「迷彩!楽しい!」と絶叫しながら筆で色を塗ることです。楽しいんだよ、オトナになってから筆で絵の具を塗るという作業そのものが!!

狭いところや「コーナリングが厳しいぞ」と思ったところは少しだけ穂先の小さい「平丸筆M」もあります。この2本を併用してツンツンしながら迷彩のカタチを仕上げていきましょう。
生乾きのところをツンツンするとせっかく塗った塗料がベロンと剥がれてクレーターみたいになったり、下地の緑と混ざってグチャッとした色になったりします。気をつけるべきは「目で見てツヤが消えていれば乾いている/ツヤがあるところは乾くまで筆を乗せない」という判断。焦らず、気長に、全体の調子を見ながら迷彩のカタチを整えていけばいいのです。

ムラができても、実物どおりじゃなくても、絶対に大丈夫。人間、2色以上がモヤモヤした輪郭でせめぎ合っている模様を見ると「カモフラージュだ!」と思うクセが付いていますし、プラモ作ったことない人、色塗るなんて想像したこともない人に「これオレが塗ったんだよ」と言うと「えー、すごい!器用じゃん!」って言ってもらえます。コレは本当です。
さあ、迷彩を塗ってみましょう。戦車じゃなくても、モビルスーツでもフィギュアの衣装でもなんでもOK。好きな2色を選んだら、先っちょの丸い筆でモワモワ、トントン。あなただけの味がそこに出現すること間違いなしです。
みなさんも、ぜひ!