プラモデルを買うとき、箱絵(天面)はもちろん見ますよね。かっこいい絵が乗ってて額に飾りたくなります。じゃあ、箱の横(側面)ってよく見ますか? プラモデルの説明とか写真とか、ミリタリーモデルなら歴史とかが書いてありますね。私は歴史についてはちょっと苦手意識があります。自慢じゃないですが世界史は赤点でした。だから、何年に配備とか、何年のなんちゃらの戦いとか言われてもピンときません(あんまりこんなこと書くと怒られそう)。なので模型の説明とか歴史とかあんまり読まずに箱絵の印象で買ったりします。ジャケ買いってやつですね。
そんな私が「双発のプロペラ機ってかっこいいな~」と思って買った、タミヤのブリストルボーファイターMk.4夜間戦闘機。
家に帰って、ふと”箱の横”を見てみると《模型要目》という説明書きがあります。よく読んでみるとこんな一文が書いてあるんです。
★成形色は黒、ボーファイターの精悍な姿を引き締める全面つや消し黒の塗装仕上げを手軽にお楽しみいただけます。
箱の横が言っています。「パーツは黒で作っておいたから、そのままつや消しスプレー吹けばいいよ。黒いパーツを黒で塗装するような不毛な営みはしなくていいよ」
そっか~しょうがないな~。箱の横がそこまで言うなら言われたとおりにするしかないな~。ホントはバリバリ全塗装しようと思ったけど…意地張ってもしょうがないしな~。
なんだかだらしない奴だなと言われたくないので、機体色は箱の横に言われた通りにする代わりにそれ以外の部分はなるべく頑張ろうと思います。
機体色以外はシタデルカラーで筆塗りしました。窓枠もマスキングテープを切り貼りして塗り分けます。デカールを貼ったらつや消しスプレーを吹いて完成です。
私、これくらいの大きさのプラモデルは大体途中で飽きて投げ出すことが多いのですが、機体を塗らないと思うとすごく気が楽です。ランディングギア(着陸脚)やプロペラまわり、搭乗者やコクピットの部分塗装は筆塗りなら忙しくても少しづつ進められますし、このキットはデカールも少ないのでサクサク作れます。意外といい感じになってませんか?私は大満足です。
作り終わってから、家にあるプラモデルの箱横をあらためて見てみると、箱横にはそれぞれのメーカーのプラモデルに対するアプローチが現れているような気がします。
バンダイスピリットの箱横には「こんなふうに可動しますよ」「こんなギミックがありますよ」と完成したモノの魅力を教えてくれます。ハセガワは多くを語りません。必要な情報を淡々と語る姿は硬派な感じがして魅力的です。タミヤの箱横は塗装図と歴史、そしてプラモデルの説明。完成写真が無いその箱横は組み立てる楽しみと、どういう風に作ってもいいんだよという自由さを教えてくれている気がします。
別にどのメーカーの箱横がいいとか悪いとかそういうことではないんです。押しの強いチャラ男も寡黙な紳士も、おとなしい文学女子も派手なギャルもみんな魅力的です。今回は年上で真面目そうなお姉さんが思いがけず優しくしてくれたので、それに思い切り甘えてしまっただけの話なのです。
東京在住。世界を理解するための糸口としてプラモデルを制作中。趣味の記録や思索のためにnoteも書いています。