黒と銀と、あなたの好きな色。/「ビビリのカーモデル」を作る。

 クルマのボディをツルツルに仕上げてみたい。ただそれだけでプレコーの光沢を吹くという記事を書いたのですが、ボディだけあってもしょうがないのでクルマのカタチにしてみようという思い。

 プラスチックの色はベージュ。ボディは赤く塗ったけど、シャーシやタイヤがベージュじゃ締まらない。とりあえず黒く塗っておこう。ライトやバンパーがベージュじゃ締まらない。とりあえず銀に塗っておこう。このふたつの塗料は、だいたいのクルマの模型をどうにか「クルマだな」と認識させてくれる便利な色です。セミグロスブラックとシルバーと、あなたの好きなボディの色。これはその日の気分で大丈夫です。赤じゃなくても、緑でも、青でも、微妙な茶色や、つや消しのグレーでも、あなたが塗料の棚の中で「あっ」と思った色でいい。

 このタミヤ1/48MMシリーズのビートルを見ていてすごいなぁと思ったのが、Aの枠とBの枠(この枠のことをプラモ好きは「ランナー」と呼びます)が区切られていて、「Bを銀に塗るとかっこいいよ」と言葉少なに僕たちに語りかけてくるところ。ミリタリーテイストにも、民間の乗用車テイストにも組めるよう、パーツがなんとなく分かれているんです。説明書には明言されていないけど「かわいいビートルが欲しいな」と思ったときに、ユーザーに小さな驚きを与えてくれる。こういうところがタミヤのプラモのすごいところです。

 シートの色はベージュでいいでしょう。プラスチックのまま。ホイールキャップとバンパーは銀。あとは黒く塗って、注意深く窓ガラスをはめます。プラモはやろうと思ったらやることがいくらでも増えていきます。やることが増えると、失敗する確率も少しずつ増えていきます。リカバーできればいいけど、失敗したら悲しいし、悔しい。だから、今回は「できることだけやろう」と決めて、失敗しそうな塗り分けや、時間のかかる塗り分けはしません。逃げ腰に見えるかもしれませんが、こうやって決めればひとつの「新しいチャレンジ」と、たくさんの「自信が持てる作業」を組み合わせて、昨日の自分より少しだけ前に進むことができます。

 プラモの経験値は、「完成した」と思ったときにチャリンと音を立てて自分に足されます。完成というのは、自分にとってのゴールライン。昨日の自分ができかったことをひとつプラスして、プラモの箱に入っているワクワクをしっかり味わえたなと思えれば、それは完成です。誰かにとっての完成と、自分にとっての完成は違っても大丈夫。今日、僕はツルツルのボディのクルマをひとつ手に入れました。次はどんなことを覚えて、新しい模型を作ろうかな。そんなことを考えながら、グラスを傾けるのが楽しいのですから。

■タミヤ 1/48 MMシリーズ

<em><a href="/author/kalapattar/">からぱた<br></a></em><a rel="noreferrer noopener" href="https://twitter.com/kalapattar" target="_blank">@kalapattar</a>
からぱた
@kalapattar

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。