デフォルメとパロディ。鳥山明とプラモ。

 オタクとは何か。それは2次元と3次元にボーダーを持たない人種。そしてプラモデルは時として、2次元と3次元が絡み合って誕生する奇妙な存在だ。相性が悪いわけがない。「何言ってんだお前」と思ったそこのあなた!まずはコイツを見てくれ。

▲ファインモールド 1/12? ワールドファイターコレクション ドイツ陸軍歩兵・マイヤー

 THE・こだわりの国産メーカー、ファインモールド社が鳥山明氏とタッグを組んで発売したそこそこ古いプラモデルです。かっくいー! スケール表記を「1/12?」としているのは、装備がしっかり考証された1/12スケールなのに対し、人間は鳥山先生のデフォルメキャラクターとしてノンスケールで造形されているから。キャラクターモデルとスケールモデルが完全に融合しているなんともユニークな模型なんですね。んちゃ!(雑)

▲説明書にも鳥山先生の爽やかイラストが。いいね。
▲箱の側面には実際の装備の写真を載せてあり、塗装の参考にもなる。

 こうしたイラストを元に製作されたプラモデルの成り立ちについて考えてみるとなかなか面白い。デフォルメキャラのイラスト(平面)を元に原型(立体)を作成する。またそれを金型に落とし込み、樹脂を流し込み、ランナーについたパーツとして「半立体・半平面的な存在」として販売。購入者はそれを再構築すれば「立体」として手元に置くことが出来るのだ。なんとまぁ、プラスチックな存在なんでしょうね。

 さっそく組み立てよう。スナップフィットのキットではなく、接着箇所もけっこう雰囲気。こういう時は流し込み接着剤でなく白いタミヤセメントを使ってアバウトに対抗する。「うーん、ここらへんかな……?まぁいいか。ヨシ!」と、現場猫の精神でやっつけていきましょう。スキマが出来てもパーティングライン(プラモを成形するときにできる金型と金型の合わせ目のライン。たまにちょっとズレたりしているものもあるよ)が残っても多少は気にしない方が吉。ほんとに気になるところだけは削ったりパテ埋めで処理しよう。

▲本人も大変そう
▲合わせ目とPL(「パーティングライン」をこう略すとカッコいい)にこそプラモデル性が宿るのだ……。

 などと訳の分からない呪文をつぶやけば大体は解決する。なんたるポエット!プラモの作り方、楽しみ方は人の個性がよく出るところ。

▲素組終了。とっても雰囲気が良い。服のシワや装備の量感が見事に彫刻されている。モールドがファイン。まさしく「ファインモールド」だ。

 気分がアガってきたところで次のステップに移行だ。私はどちらかというとプラモ塗りたい派なので、説明書を見ながら塗装してみることにしよう。

▲う〜ん、丁寧すぎる。『新宝島』かな?

 調色や塗り分けが結構大変そうね…私でも手に負えるかしら?少し冷静になってしまった。今の私は、プーアルがシェンロンに向かって「ギャルのパ……(いや、ちょっとまてよ……そんなこと頼むより……)スレンダーでしれっとした目つきで何だかこの世界の秘密を知っているけど教えられない風な陰のある雰囲気を持ち合わせていて『フフッ……先輩ってホントにただの豚……私がいないと何も出来ないんですね……』とか結構キツイことを言う割に何だかんだ俺のことが好きな2個下の後輩キャラをおくれーーーー!!!」とか言ってしまうぐらい冷静だ(冷静か?)。シェンロン「わかる……」。

 正直に言うと私はただの2次元オタのプラモ衝動買いおじさん(ほとんどビョーキ)なのでAFVや軍隊等に関してはあまり知識を持ち合わせていないし、特にドイツ軍の装備にもこだわりは無い。方向転換か?素組で飾っても味わい深いしな……。

 しかし、オタクには得意技がある。それが”パロディ”だ。冒頭で申し上げた通り、オタクとは2次元と3次元にボーダーを持たない人種。つまり、アニメ、ゲーム、マンガ、模型、フィギュア、写真、音楽、車などなど様々な趣向の中で、好きなものをミックスしたり、複数のジャンルをクロスオーヴァーさせることが得意な人達なのである。同人誌文化がこの最たる例で、まさにパロディの一大ムーブメントとも言える。そしてオタク君はすぐ「これ、〇〇みたいっすね。デュフフ☆」と言って自分の脳内で勝手にリンケージしてしまう。それはクソリプだからやめろ! だが、その脳内リンクをパロディに昇華して楽しむことが出来るのはオタク君のいいところ。私にいい考えがある。

▲グレーと黒の缶サフ(サーフェイサー。下地塗料のことだ)を吹く。

 グレーの本体はシタデルコントラストという水性塗料をバァーッと筆塗り。一回ベタ塗りするだけでこれです。勝手に陰影が出来るスグレモノ。メットはサーフェイサーのまま。ポーズがまさに「今日、一杯やってく?」的な。

 メットと肩に赤でリボンを描く。ファレホ(発色がよく、とっても使いやすい水性塗料!)の筆塗り。こういうマークは少し小さめに書き始めて、修正しながらサイズ感を見て大きくしていくのがコツ。かわいい。

 サンコーマーク工業から販売されているナンバーデカールを用意。さまざまなサイズが1枚に揃っており便利すぎる。デカールの説明書が何故かペンギンでこれまたかわいい。

▲デカール、貼る。鳥山明、軍隊といえば……。
▲そう、ドラゴンボールでお馴染みのレッドリボン軍ですね!マークがビシッと入るだけで全然カッコいいなおい!

 安易なパロディなら考証もいらないでしょう。純粋なホンモノではないにしても自分のアイデア、エッセンスを加えたそれは非常に愛しい存在となり得る。史実や原作に忠実に作るのもいいけど、それを完全に無視するのも創作活動の醍醐味のひとつであると私は思うのだ。

 オタク同士諸君、オタクなら軽率にパロディしようじゃないか。そして、自分はオタクじゃないと思ってるあなた。プラモデルでパロディ、してみませんか?

▲「こちら側へようこそ…」

■ファインモールド 1/12?スケール ワールドファイターコレクション

ハイパーアジア
ハイパーアジア

1988年生まれ。茨城県在住の会社員。典型的な出戻りモデラー。おたくなパロディと麻雀と70’sソウルが大好き。