
模型店で1000円少々。安いな。はがきよりひと回り大きいくらいの青い箱に「Bf 109 G-10」と書いてありました。これがE型やG-6だったら、そのまま棚へ戻していたかもしれません。しかしG-10となると話が違う。第二次大戦も末期、より強力なエンジンをと機銃を収めるために機首のカタチがまるまる変わってしまったBf 109です。高機動型ザクみたいでしょ。見慣れたメッサーシュミットの成れの果て、異形な姿を見たくなって、箱を持ってレジへ向かいました。

友人には「なんすかそれ、1/144すか」と訊かれました。確かにジェット機ならそのスケールだな。でも中身はれっきとした1/72です。箱が小さいぶんだけパーツも少なくて、透明パーツを除けばランナーはたった2枚。ところが箱を開けてまず目につくのは、そのパーツ数ではありません。バリです。胴体の開口部やランナーの縁から、薄いプラスチックがぴろぴろハミ出しています。「これ、相当古いキットなのかな」と調べてみると、主翼下面のパーツの裏に「1996年」の刻印がありました。マジかよ。私の感覚では、1996年に新しく作られたプラモデルとして見ると、なかなか景気のいいバリっぷりです。

とはいえ、これが組み立てを邪魔するかというと、そこまででもありません。薄いバリにデザインナイフの刃を当て、しゃーっとなぞれば簡単に落ちます。かなり簡素な作りのコクピットを挟み込んで胴体左右を貼り合わせ、主翼や尾翼を取り付ける……という飛行機模型の普通の所作ができれば、このあたりは意外なくらい素直に形になります。

反対に、脚やアンテナといった小物になると、急に取り付け場所の手掛かりが乏しくなります。「ここに付けます」という凹みやピンが埋まったり溶けかけたりしているんだな。キャノピーと胴体にも少々フィッティングの怪しいところがあり、現代の1/72飛行機を組む感覚で触ると「そこは自分でなんとかしてね」という顔をしてきます。

もちろん、いま1/72のBf 109G-10を作りたいなら、もっと精密で親切なプラモデルがあります。日本にはファインモールドのG-10があり、形状やディテール、組み立てやすさを求めてこのレベル製品を積極的に選ぶ理由はあまりないかもしれません。1990年代にドイツの模型メーカーが、末期型のBf 109をコンパクトかつ安価なプラモデルにした。その金型が30年後も残り、いまも1000円少々で手に取れる。バリを削り、小さなパーツの付け場所に迷いながらなんとかカタチにするのも楽しいし、「これこそ最良のG-10プラモだ」と太鼓判を押すベテランモデラーもいます。ハコを開けなければわからないのがプラモデルのおもろいところ。みなさんも、いろんなプラモデルのハコを開けて驚いたり、戸惑ったりしてください。