
ユニバーサルモンスターのキットでお馴染み、”浪速のオーロラモデル”こと、エクスプラスから「妖鳥シレーヌ」が発売されたので、早速組んでみました! 永井豪先生の「デビルマン」に登場した悪魔たちのなかでも、その壮絶な最後が印象深かったシレーヌ。美女とクリーチャーが融合した異形のデザインは人気が高く、昔から多くの造形師により、レジンキットや完成品が生み出されてきました。そんな、悪魔娘、モンスター娘の歴史に大きく名を残した彼女がなんと、この令和の時代にプラキットとして降臨!

まずは、シレーヌの素組み状態をみていきましょう。造形は原作漫画版を踏襲しつつ、リアル寄りのデザイン。塗装前提のキットではありますが、翼や尾翼の部分はホワイト、そのほかの部分はそのまま活かしたくなる絶妙なフレッシュで成形されていて、未塗装でも十分見応えのある造形となっています。エクスプラスのこだわりである、ヴィネット仕立てのベースは今回も健在。

本キットは、同メーカーのラインナップのなかでも比較的大きなパッケージとなっています。その理由は、箱を開けるとまず目に入ってくる、この翼のランナー。シレーヌの頭部の左右から生えた大きな翼を立体的かつ、ボリューミーに見せるべく、リッチで複雑なパーツ分けがされています。

各パーツには、羽根一枚一枚がしっかりモールド。陰影を活かした塗装やドライブラシが映えそうです!

立体パズルのような楽しい組み立て工程を得て完成する、圧巻の両翼。動きを感じさせるダイナミックな造形で、角度により違う表情を見せてくれるので、見ていて飽きさせません。この翼が頭ではなく、背中から映えていたらもっと凡庸なキャラクターデザインになっていたかもしれませんね。

ワシやタカなどの猛禽を思わせる、鱗をまとったシレーヌの四肢もしっかり再現。膝上あたりから、人間的造形から、異形へのグラデーションがモールドで表現されています。このあたりの塗装は、原作をもとに鮮やかなイエローにするもよし、自然界の猛禽を参考にリアルに塗るもよしですね!

鋭い鉤爪もシャープに造形。刺さると痛いので、取り扱いは要注意です。爪のエナメル質を表現するために、あえてここだけ成形色を活かすのもいいかも?

驚かされたのは、胴体を構成するパーツのリアルな肉感。パーツ状態でも、骨格の上に筋肉と脂肪が乗っているのがわかる造形です。まるでギリシャ彫刻のような肉体美が表現されています。

珍しいパーツ構成に感じられたのは、ヘッド部分。目のパーツが別パーツになっているキットもありますが、内側からではなく外側から後ハメできる作りになっています。そのため、肌部分へのはみだしを気にすることなく、納得いくまで塗りこむことができます。異国感を感じさせる、エクスプラスのキットの組み立て説明書には、さらにディテールアップするためのテクニックが紹介されているんですが、本キットでは、市販のつけまつ毛を植毛する手法が記されていました。

目が入っていない状態のフェイスパーツは、ジョジョの石仮面みたいでちょっとコワいですが、組み上げるとちゃんと美人さんになるので安心してください!リアル寄りながらも、永井豪先生の描く女性キャラクターを感じさせる顔立ちに仕上がっています。口パーツは内側からはめる方式なので、事前に塗装し、マスキングすると良いでしょう。

恍惚の表情を見せながらも、左手には、下級デーモンの首。シレーヌの持つ妖艶さと残酷さの2面性を体現する造形とポージングも「分かってる〜!」と言いたくなります。このクオリティで、作中でのカイムとの合体形態も見てみたいところ。血管を描き込んだリアルな肌塗装にチャレンジするもよし、造形の良さをそのまま活かし、メタリック一色で塗って彫像風に仕上げるもよいでしょう。
あと、塗装法に困っている方は、エクスプラスの公式Youtubeチャンネルの動画の視聴をおすすめします。フィニッシャーを務める怪物屋・吉尾氏による塗装レクチャー動画は必見です!

この「妖鳥シレーヌ」は、リアルな女性フィギュアと怪物造形を両方味わえる、”うな牛”的よくばり神キット、もとい悪魔キットでした。異なるジャンルの模型スキルを同時に上げられる点も魅力に感じました。シレーヌのみならず、デビルマンや、ジンメン、他の永井先生作品からキューティハニーなどの展開も期待したくなりますね! 「デビルマン」の影響が色濃い「エヴァンゲリオン」の綾波レイのキットがエクスプラスから同時発売されたこともあり、もう一度作品を見直してみたくなりました……。