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再会からたった1時間で「ワイルドキャット」が机の上の全プラモを追い抜いていった話。

 作りかけのプラモデルとの偶然の再会から、「ちょっと塗ってみるか」の気分で過ごした1時間が、机の上にあった製作途中のプラモデルたちをすべて置き去りにしていきました。俺の次の模型タイムは急遽「アカデミー 1/48 ワイルドキャット」に注がれることになったのです。

 プラモを収納しているクローゼットを整理していて、久しぶりに手にしたのがこのワイルドキャットでした。プラモの片付けをしている時って危険なんですよね。ついつい箱を手に取って、「このキットかっこいいんだよな〜」なんて言いながら蓋を開けてしまう。もちろん、このワイルドキャットも開けました。すると出てきたのは、飛行機模型で僕が面倒だと思う工程――主にコクピットなど内側の塗装――がすでに終わった状態の機体でした。

 nippperで本キットを紹介した時の記事を読み返してみると、内装は塗装済み。しかもクリアーパーツのマスキングまで終わっています。塗る気満々で封印していたのです。最高の状態で眠る作りかけのプラモデル。なんだかロールプレイングゲームのダンジョンで宝箱を開けたら、めちゃくちゃ強い武器が出てきたような気分でした。そしてこのキット、やっぱりかっこいいんですよ。

 僕のラッカー塗料用パレット(100円ショップのお皿)には、アメリカ海軍機を塗るための色がほぼ揃っています。だから「ちょっと塗ってみるか」となりました。パレットに少し塗料を足して、ラッカー溶剤をちょんと垂らす。これだけで塗装準備完了です。お昼ご飯までの1時間でどこまで筆塗りできるか。そんな軽い気持ちで作業を始めました。

 まずはマホガニーサーフェイサーを全体に薄く筆塗り。10分ほどで機体全体がマホガニー色に染まります。この色が影となり、上塗りした時にいい感じの陰影を生んでくれるのです。続いて下面のグレーを塗装。マホガニーがうっすら透けているところ、筆のタッチで表面が少し荒れているところ。そういう塗面を見ているうちに、完全にスイッチが入りました。ほんの数十分前まで、このワイルドキャットはクローゼットの奥に眠っていたキットです。

 それが今では、机の上に並ぶ製作途中のプラモデルたちをごぼう抜きにして、次の模型タイムの主役になっていました。プラモデルって本当に不思議! 「次はこれを作ろう」「あれも進めなきゃな」と考えていても、ある日突然現れた一箱が全部持っていってしまうことがある。そして僕の場合、その勢いこそが完成まで連れていってくれる燃料だったりします。

 そのままの勢いで上面へ。プラのグレー、マホガニー、上塗りのブルーグレー。それぞれの色が混ざり合って見せる表情にワクワクが止まりません。超楽しい。そんな最高潮のタイミングでまさかのタイムアップ。気づけば1時間が過ぎていました。でも、この1時間はやたらと濃密でした。思いがけない再会から始まり、なんとなく筆を持っただけのはずなのに、気がつけば次に作るプラモデルまで決まっている。たった1時間で、それまでコツコツ進めていた模型たちの予定表を書き換えてしまったのです。計画的に作る楽しさもある。でも、こうして偶然の勢いに身を任せる楽しさもある。どうやら過去の俺は、今日の俺のために最高の状態でこのキットを封印しておいてくれたみたいです。

フミテシのプロフィール

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。

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