
アニメに出てくるロボットやモンスター、映画に出てくる戦闘機や実在の戦車。そういうものをなんでもプラスチックに変え、ユーザーに組み立てさせるというプラモデルという遊び。その中でも1/48や1/144という表記が入っているものは現実にあるものを手に取りやすい大きさに縮小しましたという意味なわけです。その中でも1/35っていうスケールは、例えばタミヤでは戦車やトラック、兵士なんかがラインナップされていて、リアルな情景を手元に広げられる魅力的なスケールだと思ってます。
さてこのバンダイスピリッツから出ているバットモービルのプラモデル。バットモービルっていうのは映画『バットマンビギンズ』に出てくるスーパーカーですが、所詮映画の中の大道具なわけでこれはCGかもしくは少し走るくらいの模型をプラモにしたものだよな~と。だから箱に書いてある「1/35」っていうのもキャラクターモデルにリアリティを持たせる商品演出としてのスケール表記で1/35なんでしょ……と思いきや、バットマンビギンズに出てくるバットモービルは本当にあるのです。

ノーランは実際に走るバットモービルを一から作り、140キロでカーチェイスをさせ、壁をにぶつけ、滝から飛び出させ、洞窟の中に着地させるということをやってのけたのです。CGで作られたメカや、時速40キロそこそこでしか走らないような大道具的模型とは一線を画す存在。確かに映画的な演出というのはもちろん加えているんだろうけど、実際に走る構造、機能を備えているわけで、そこには確かにリアルな感触があるんだろうと思うわけです。

じゃあこのプラモデルにスケールモデル的な組み味があるのだろうかと組んでみると確かにスケールモデル的な部分を感じます。ですが、それと同時にバンダイスピリッツが出しているガンプラのような作りやすいキャラクターモデルが顔を出します。たとえば車体裏は権利関係の文字が刻み込まれている以外は何もなくフラット。まあ文字は置いておいて、メイキングを見る限り車体はアルミモノコックみたいに見えるし、これくらい底面はフラットでも不思議はありません。

車体の後ろ側にはタイヤを支持するサスペンションやフレームがあり、きっと後ろのノズルからジェットを出すためであろうボンベが見えます。こういうディテールがいちいち貼り付けていくようなパーツ分けではなく一体になっているのもバンダイスピリッツのプラモデルだなぁという「味」の部分。

中はシートが用意されていてクリアパーツの窓から若干見えるくらい。というかスモークが濃いから正直あんま見えない。なのでほんとにシートがあるだけの内装だけど別に問題はないという感じ。外装のパーツもそこまで細かくないし、逆にこれをパネルラインでビシビシとパーツ分けされても途方にくれてしまいます。

はめ合いも厳しくなく、サクサク組めるな……と思っていると途中で急にギアを上げてきます。ここまでスナップフィットで組ませてきたのに急に「接着剤使用」の文字。フラップを車体に取り付けるのに、繊細で細い土台を車体に接着しなければならない。そしてフラップも土台のポッチを頼りに貼り付けていく。別にすごく難しいわけではないし、どこに貼り付ければいいのかわからないというほどではありません。だけど、今までスナップフィットでパチパチ組んでいたところから一気にスケールモデルの組み味にシフトを余儀なくされオロオロしながら、しっかりとフラップに接着剤で指紋を残した僕なのでした。

当然実際にあるものを縮小してプラモにするわけですから、割り切るところと「どうしても実物を再現したい」という熱意が現れてくるところがあるわけです。そこの振り幅の激しさに面白さを感じるプラモなのでした。