

初めて映画館で観た実写映画が『ゴジラVSビオランテ』だった。7歳の脳味噌に対してそのストーリーはかなり難解だったが、芦ノ湖に屹立する巨大なバラの花、禍々しいゴジラ、権藤の自己犠牲は幼い心に深く刻まれた。そしてなにより、ヌメッとしたオリーブドラブのボディが割れてミラーが露出し、ゴジラの熱戦を跳ね返すスーパーX2に私はほとんど恋をしていた。
MODEROIDの新製品、スーパーX2にはスケール表記がない。全長約175mmというそのサイズは、たとえば1/24スケールのカーモデルのような大きさで、じつに手触りの良い大きさだ。私はこの「触り心地の良い大きさ」こそが本キットの最大の美点だと思う。

劇中の活躍を再現するためのトイライクな仕掛けはMODEROIDブランドの大事なバリューだ。
メッキパーツとクリアーパーツを組み合わせたファイヤーミラーは左右連動ギミックとともに開閉するし、天面のハッチを開いてから機体内部に押し込むとラック・アンド・ピニオンがうまく作動してミサイル発射台がせり出してくるのも楽しい。

10年前にコトブキヤがスーパーX2のプラモデルを発表したとき、ホビーショーの会場で展示されていた実物の撮影用プロップの持つを併せ持った独特の雰囲気(それをあえて言葉にするなら「荒々しい造形や塗装の豪快さとそれを精密に見せるための危うい繊細さ」みたいなことだろう)を見て「これはプラモデルでうまく再現できないな」と思った。そしてそれは、今回のMODEROID版を手にして確信めいたものになった。

大ぶりなパーツ分割とクッキリハッキリとした彫刻。ガッチリとした組み味と、そしてなによりコロンと片手で握れるサイズになったスーパーX2からは、大きさからくる迫力やスケールモデル的な繊細さとは違うところに力点を置いたプロダクトなのだ……ということが脳に直接伝わってくる。あけすけに言ってしまえば「私が当時欲しかったのはこんな造形物だったのかもしれない」と思わせるような、よくできたトイとしての佇まいがあるのだ。

しかし古今東西のプラモデルを楽しむいまの私には心強いツールやマテリアルが備わっている。精細な水転写デカールを貼り、曲面にしっかりと馴染ませ、上からツヤ消しのトップコートを吹けばプラスチックっぽさはなりを潜め、ドシンと重たい超兵器の質感が宿る。
ここに濃淡の薄い塗料を重ねればさらに巨大感を演出できるだろうし、少し頑張ればパンフレットで幾度となく観察した横山宏氏のイメージイラストに近いファイヤーミラーの構造を再現するための改造だってできるかもしれない。そんなとき「ヌボッと大きくて間が持たない」なんてことを考えなくていいのも、このサイズならではの魅力に違いない。

人間は成長するうちに幼少期に親しんだものをひさびさに眺め「こんなに小さかったっけ。あ、自分が大きくなったのか……」と独りごちるもの。でもこのスーパーX2はその反対で、7歳の心のままずっと空いていた隙間にしっくりと馴染む大きさと優しさを備えている。間違いなく最新のプラモデルだけど、なんだかすごく昔から知っていて、欲しくても買ってもらえなかったものがふと手に入ったような、不思議な感覚にさせてくれるステキな製品だ。