最速で組み上がるV8エンジンのプラモ/バンダイスピリッツの新バットモービル

 現在公開中の映画『THE BATMAN-ザ・バットマン-』に登場するバットモービルのプラモが発売されたのでこれは即刻組むことをオススメします。すごい。どストレートな60’sアメリカンマッスルカーのシルエットながらエッジのとりかたやメカのチラ見せで現代風に仕立てられた今回のバットモービルを、普段ガンプラで鍛えまくっているバンダイスピリッツが接着剤いらずのプラモにしているんですから、面白くないわけがない。

 カーモデルなら最初に目に飛び込んでくるのはボディのパーツですが、このプラモはボディの外装がそれぞれの面でばらばらになっているし、内装もろとも真っ黒なので箱の中でもあまり存在感がありません。その代わりに「オレを見ろ!」と銀色を纏ってこちらに大声で呼びかけているのがエンジンのパーツ。V8のシリンダーブロックから管楽器のようにうねり、絡み合いながら伸びるエキゾースト……。しかもカーモデルの標準的なスケールである1/24や1/25ではなくこのモデルは1/35なので、凝縮感がすごい。彫刻だっていわゆるスケールモデルと同水準かそれ以上の繊細さで見るものを圧倒してきます。

 親指の爪くらいの面積にビチ―っと彫刻されたエンジン上面。完成後もむき出し。色指定は全部シルバー。こうしたパーツをパチパチ切ってピシピシ嵌め込んでいくとめちゃくちゃ立体的なエンジンになるのが面白い。いや、普通のカーモデルやバイクモデルでもエンジンはパーツを組み合わせて複雑な形状にしていくわけですが、それぞれのパーツの取り付け位置や角度がしっかり決まるように組むのはちょっと気を使うものです。対してこのバットモービルはもう半分寝ながらでもバキバキのV8が組み上がっていくというちょっと体験したことのないプラモになっています。

 実在しないモビルスーツをプラモにするのとは違って、「実在する形状をまるまる再現する!」というタイプのチャレンジでも、これだけのクオリティと組みやすさを両立しているのはマジですごい。最近組んだプラモだと、同社のトライチェイサー2000でも感じた「ガンプラで培ったアイディアや工夫を現実世界のメカに持ち込むとおっそろしく面白いことになるな!」という感覚が10倍くらいになって襲ってきます。

 シャーシに組み込むと、エンジンの異常な大きさに驚きます。それ以上に「ちゃんとエンジンのカタチをしているだけでなく、機能する機械として造形されていますね」ということがエラい。ここを組むだけでもこうして記事を書きたくなるくらいの大興奮プラモです。朝青龍がとある機会に披露した海岸ダッシュの如き走力を思い出しますね。およそ機敏な動きなどできないだろうと思われている巨大な力士がちょっと足の速い人間よりも高速かつ強力に動くときの恐怖!スポーツ選手が違う競技でもめちゃくちゃ強いと無条件に面白いじゃないですか。アレです。

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からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。