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【レビュー】フジミのプラモデルで体感するフィクションの深度/ロータス・エスプリは地中海の夢を見るか?

 「ロータス・エスプリ」の名を世に知らしめたのは、映画『007・私を愛したスパイ』でのボンドカーとしての活躍だった。軽量さをスポーツカー作りの哲学としたロータスが送り出したエスプリは、劇中でもサルディーニャ島のワインディングロードで華麗に旋回を決める。しかし、007に登場するエスプリの本領は、敵に追い詰められ海中に没したところからはじまる。

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 ジェームス・ボンドがおもむろに秘密のスイッチを操ると、エスプリはなんと潜水艦に変形してしまうのだ。このキットではその組み立て時において、映画本編で見せられたあの印象的なスポーツカーから潜水艦への変形シーンを追体験することになる。

 組立説明書でまず指示されるのは運転席まわりの組み立てだ。インパネにハンドル回り、運転席・助手席それぞれへのバケットシートの据え付けなど、出だしは最高にスポーツカーである。

 ところが、次に指示されるのは自動車模型ではまずありえない四連スクリューの組み立て作業だ。スクリューの次はウィンドウ部分へクリアパーツをはめこみ、テールライトの次は推進装置を車体に取り付ける工程。

 通称「ウェットネリー」の海中航行シーンは、実物のロータス・エスプリをフロリダの潜水艦メーカーに改修させて作らせた、本物の「潜水艦バージョンのロータス・エスプリ」を使って撮影された(さすがに内部は海水で満たされる「ウェットサブ」で、潜水服を着た乗員が操縦するものだったようだが、実際に映画と同じ4枚の電動スクリューを回して時速7ノットで航行できた)。フジミの「ボンドカー サブマリン」は、この潜水艦仕様のロータス・エスプリを1/24スケールへ落とし込んだプラモデルなのである。

 4本のスポーツタイヤのかわりに、タイヤハウスを覆うシュラウドとともに「ウェットネリー」のシルエットを決定づける4枚の潜舵を取り付ける。そして潜水艦には付き物の潜望鏡を取り付ければ組み立て作業もいよいよ佳境だ。

 1/1スケールの泳ぐ「ウェットネリー」が実在したことを知って作ると、ボディに付けられたすべてのギミックが説得力を帯びてくる。このキットは単なる特撮用ミニチュアのレプリカなどではなく、世界でただ一台存在した、「本当に海中を自走できるロータス・エスプリ」のスケールモデルなのだ。スクリーンでは派手なアクションで私たちを驚かせてくれたロータス・エスプリは、今度はプラモデル固有の「作る」という行為を通じてあなたを驚かせてくれるに違いない。

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tomのプロフィール

tom

1975年生まれ。銀座で昼の商売やってます。説明書どおりに作れません。

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