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【レビュー】10年越しに味わうアルペジオの衝撃/アオシマ 1:350 潜水艦 蒼き鋼 イ401

 10年前……10年前って何してたっけ……と記憶を辿ると、俺の仕事は『ガルパン』と『艦これ』でだいぶ手一杯なのだった。ちょうど模型専門誌の編集者という仕事から離れるか離れないかの時期に放映されていたTVアニメ『蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-  』については後輩編集者に任せきりになっており、毎月手にするモデルグラフィックスやホビージャパンの誌面を眺めては「なんかすげえ複雑なカタチの模型を作ったり撮影したり、これはめっちゃ大変そうだな……」と正直他人事ではあった。ゆえに、今回アオシマから再販された1/350の「イ401」とは初対面ということになる。

▲画像は青島文化教材社による塗装済み完成見本

 艦船模型もキャラクター模型も数多く手掛けてきたアオシマが、「超重力砲発射形態に変形する実在の潜水艦(のようなもの)」を模型化する。これは「飛行機模型を得意としていたハセガワがVF-1バルキリーをプラモデル化する」というのとは少し様子が違う。モロにスケールモデルな実在の潜水艦そのままの部分と、外板がバカバカと割れて露出する内部メカのディテールが一枚のランナーに同居するあたり、かなりストレンジな光景だ。

 およそ潜水艦の模型とはとは思えないほどバラバラになった船殻のパーツたちには、実物の潜水艦にある魚雷発射口やフリーフラッドホールといったディテールと、SFメカとしての幾何学模様がひとつのパーツにビシッと繊細な彫刻で入れられている。本製品の開発には2000年代後半にスタートしたアオシマ製1/350艦船模型の設計や製造に携わったスタッフやインフラをフルに動員しているはずで、パーツの薄さからくる華奢な感じ、端々に漲るシャープネスは明らかにスケールモデルの手触りだ。

 極めつけに現れる艤装品(艦船に取り付ける各種装備)は、実在する艦船の模型に同梱されたのと全く同じパーツたち。アルペジオの基本設定である「第二次世界大戦時の軍艦を模した正体不明の超兵器」というのはこんなにも模型的におもしろく表現できてしまうのか!ということに驚かされた。アルペジオ関連の新作プラモがじゃんじゃん発売され、模型専門誌の誌面を飾っていたときは完成したカタチの異様さにばかり気を取られていて、キットそのものの味わいというのには触れてこなかったのだな……と改めて気付かされる。

 ぶっちゃけて言うと、「艦船模型とキャラクター模型」というジャンル分けに従って、プラモデルの見た目や組み味も全然違うんだろうな……と思っていたので、ある種スケールモデルの手触りがここまで通底していることにかなりの衝撃を受けた今回の再販。調べてみるとパッケージイラストもそのレイアウトも当時品とはまったく違うし、さらに言えばこのキットにはもっともっと深堀りすべきギミックがたくさん仕込まれている。プラモデルの世界ではこの10年でツールやマテリアルにも大きな進化があったわけで、当時を知る人もそうでない人も、このハイカロリー極まりない「執念のプラモデル」をぜひとも組んでもらいたい。

からぱたのプロフィール

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

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