
■本記事はボークスより商品の提供を受けて作成しています(PR)
航空機を1/32というビッグスケールで、まるで実機を組み上げるかのように作る。それがボークスのSWSシリーズです。もう何機も作ってきましたが、毎回のように内側と外側の両方から新しい驚きが出てきます。今回組んだのはフォッケウルフ Fw 190 A-3。フォッケウルフを組むのはこれが初めてですが、A-3という比較的初期の形態に触れることで、この機体の原初のコンセプトを味わえるのがなんとも楽しいところです。
>造形村 SWS 1/32 フォッケウルフ Fw 190 A-3

エンジンと胴体をマウントしたところで、外板パネルの開閉をどうするかという選択が現れます。もちろん、ここは開けて組むのがSWSの醍醐味。内部構造を眺めていると、吸気、圧縮、爆発、排気……という内燃機関のサイクルが頭の中で自然と回り始めます。

機首を見ていてまず驚くのが、プロペラの根元に仕込まれている小さなファンです。空冷エンジンは機首から空気を取り込み、シリンダーを冷却します。しかしFw 190では、前面投影面積をできるだけ小さくしたいという設計思想から、シリンダー周りのスペースがかなりタイトになっています。そこでプロペラシャフト直結のファンを設け、狭いシリンダーのあいだに強制的に空気を送り込む仕組みになっています。さらにその空気はオイルクーラーの冷却にも使われる。日本機やアメリカ機の空冷エンジンを積んだ戦闘機ではあまり見かけない、いかにもドイツらしい徹底したシステムで、ここを理解した瞬間ちょっとした衝撃があります。

コクピットの再現も、SWSらしい徹底ぶりです。フロアの下まで構造が再現されていて、正直なところ完成後にそこを覗き込む機会はほとんどありません。それでもしっかり取材して形にしている。この執念深さ、もし他メーカーの設計者が見たらちょっと驚くんじゃないでしょうか。

組み立てを進めていて、フロア下の構造に納得する瞬間が「燃料タンクの配置」です。Fw 190は燃料タンクがコクピット下にあり、翼の中には入っていません。それでもメッサーシュミット Bf 109より航続距離が長く、しかも増槽まで装備できる。燃料タンク周りのディテールもかなり見応えがあるので、接着して隠してしまう前にぜひじっくり眺めておきたい部分です。

エンジン周辺も同様ですが、このキットでは外板が桁構造と完全に分離した「スキン」の状態で再現されています。ハッチ類も開閉を選択できる設計になっていて、どう見せるかを考えながら組む楽しさがあります。

私はあまりにも内装の再現が見事で、全部閉じてしまうのがもったいなくなり、外板を半分だけ取り付ける形で組んでみました。すると、コクピットの操縦桿から伸びた操作軸が翼の内部を通り、エルロンまで機械的につながっている様子が見えるんです。こういう「構造が見える眺め」は、まさにSWSならではの贅沢と言えるでしょう。

キャノピーもバリエーション豊富で、アウトラインの違う2種類に加え、それぞれ開閉状態のパーツが用意されています。計器盤のメーターはクリアーパーツ仕様とグレー成形のパーツが選択式になっていて、メーターのガラス面を本当に透明に見せたい人はクリアーパーツを使うと効果的です。

さらに、機首機銃のクリアランスを感じるために風防前のハッチを開けてみたり、機銃整備用のハッチを開いたりと、組み付けにもバラエティが出せます。こうして各所を開放状態にすると、改めて「機械に意味のないディテールは存在しないのだ」と改めて思わされます。そして、その意味を理解したからこそ「見せる組み方をしたい」という欲求が自然と湧いてくるのです。

完成した機体を底面から見上げると、まるで博物館で吊り下げ展示された航空機を眺めているような気分になります。少し工夫するだけで、このFw 190のメカニズムを丸ごと味わえる組み方ができる。そして今回は、A-3で初めて再現される戦闘爆撃機仕様、いわゆるヤーボへの敬意も込めて爆装状態にしてみました。

デカールはイタリアのカルトグラフ製。部隊マークの色も鮮やかで、発色のいい黄色や透けない白など、性能面でも文句なしです。キツネが何かをくわえているようなマークなど、実際の部隊章とはいえどこかコミカルで見ていて楽しい。今回は塗装をせず勢いよく組み上げてしまいましたが、じっくり塗装しながらデカールを貼っていく工程もきっと格別でしょう。

Fw190という名前自体は、航空機に少しでも興味があれば一度は聞いたことのある存在であるはずです。しかし実際に組み立ててみると、空冷エンジンすらぎゅうぎゅうに詰め込むドイツ設計の執念や、全身に散りばめられた合理性、そして独特のメカニズムが次々と現れてきます。これまで味わったことのない組み立て体験が、このSWSには詰まっていました。もしもFw 190という飛行機にまだ触れたことがないなら、ぜひSWSのフォッケウルフ Fw 190 A-3を組むことをオススメします。組むからこそ見えてくる……そして思わずたくさんの人と共有したくなる驚きが、何度も何度も飛び出してくるナイスキットです。