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【レビュー】ハセガワ最新作のAE92スプリンタートレノ後期型……のまえに、レビンとプレス型の話をしようじゃないか。

 ハセガワのカーモデル最新作の箱を開けて、速攻で「彫刻に込められた気合が凄い!」と唸った。シャーシにびっしりと刻まれたプレスのエンボス加工からは「決定版を出すんだ!」という気概を感じる。今回発売された『トヨタ スプリンター トレノ AE92 GT-Z 後期型』は、正直リトラクタブルライトまわりの話をしようと手にしたのだが、いや、待てと。その前に2020年に完全新規金型を起こし、完全リファインを図ったAE92レビンのことを話さなくてはならない!

 ちなみにこのレビン/トレノというトヨタの兄弟車は(その前期後期と外見を含めた仕様の違いはあれど)主となるモノコックボディが同じ。なのでトレノのシャーシの話をすると、ベースキットとなる『カローラ レビン AE92 GT APEX 前期型』のシャーシについて掘っていくことになる。ちなみにボディとシャーシが一体となったものをモノコックボディと呼ぶのだが、プラモ的には「完成したクルマとしてまず見つめる外見がボディ」「ひっくり返して眺めるクルマの裏側がシャーシ」と呼ぼう。

 「ハセガワ凄い!」その前に、まずはプレスの話。この写真はトヨタ産業技術記念館にあるプレスのメインボディの展示(これはAE92ではなく別のクルマ)。実働する巨大な2,500トン鍛造プレスの横に展示されていてリアリティが極まっているのだが、プラモ好きにはデケェ模型にしか見えないのが不思議。このメインボディの各パネルを溶接で貼って組んでいくとモノコックボディとなる。

 シャーシにはエンボス加工と呼ばれる凸凹があしらってあるのに注目して欲しい。板っぺらにこの凹凸を加えることで強度を高め、その塩梅で走行時のキャラクターや静粛性が決まってくるという、自動車にとって重要かつ綿密な設計が込められている。そこにはトレンドやイズムがあり、AE92レビン/トレノの持つユニークさともなる。表には出ない、裏の顔といっていい。そのプレスのエンボス加工を妥協なく再現したのは「このクルマの決定版を出すんだ!」というハセガワの姿勢の現れでしかない。

 シャーシのプレスのエンボス加工の再現、パッと見ではまったく目に入らない箇所にもこの注力っぷり。そう、プレスの裏表を再現すべく、室内の床面にもプレスを刻んでいるのだ。そりゃあね、フロアのカーペットをめくったら見えますよ、このプレス。「軽量化だ!」つって、実車でそんなことしているのレーサーとか走り屋だけよ。ここをフラットな成形にしてフロアカーペットとしていても誰も文句言わない。大半のカーモデルはそう。ただ、このキットを組んだ本人だけが味わえる、喜びポイントなのだ。

 ハセガワのAE92のシャーシにおける見どころはプレスの彫刻に留まらない。エンジン直下に貼り付けるこのパーツ、フロントクロスメンバーとアンダーカバーが一体になったもの。鋼板と樹脂の部品が一体になっているとはいえ、実車どおりの部品分割が再現されている。ジャッキアップポイントがしっかり目に入るし、取り付けのM10ボルトもしっかり彫刻されていて凄い。他のパーツも実車に沿った部品分割を極力再現しようとしているのを感じる。

 FFレイアウトの部品構成を忠実に再現しつつも、接着剤で貼って組んでいくのにストレスはなく、プラモデルとしての設計力も光るキットだ。エンジンの上部こそディテールは省略されてはいるが、完成したキットをひっくり返して眺めるには過不足ないと言える。

 各種ロッドやシャフト、メンバーとマフラーが入り組んで知恵の輪状態になっているのが実車そのものなのだが、それが難なく組めてしまうのは凄い。それでいてステアリングもしっかり可動する。今回はシャーシの話しかしていないけれども、何度も凄いと言いたくなるカーモデルだ。ハセガワが新たに世に放った決定版AE92レビン/トレノ、ぜひ手に取って確かめてもらいたい。

 『トヨタ スプリンター トレノ AE92 GT-Z 後期型』に限った話はまたこんど。リトラクタブル・ヘッドライトと、スーパーチャージャーのエアインテークでボンネット回りがマシマシで最高なのよ。プラ成形色を活かして、部分塗装だけでもカッコ良くゴールできる話も合わせて。

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