
皆さんは『帰ってきたウルトラマン』のことを、普段どう呼んでいますか? 「帰りマン」「新マン」「ジャック」……。 呼び方は人それぞれですが、私はもっぱら「新マン」派です。そんな「新マン」への愛が爆発した、伝説的な作品をご存知でしょうか。 それが『DAICON FILM版 帰ってきたウルトラマン』です。

のちに『新世紀エヴァンゲリオン』を世に送り出す庵野秀明氏らが、学生時代の情熱を注ぎ込んで作り上げたこの自主制作映画。 ウインドブレーカーにジーンズ、素顔に眼鏡という出で立ちの主人公が巨大化して戦うビジュアルは、この作品で語られる一番の特徴ですが、本質はそこだけではありません。
作戦遂行のためには犠牲をも厭わないシリアスなシナリオ。 そして何より、劇中に登場する「MATメカ」の出撃シーンのカッコよさこそが、この作品の真骨頂だと私は思うのです。

出撃シーンに流れるBGM「戦えウルトラマン」は、個人的にウルトラマン史上最もカッコいいと思っている歌。 それにあわせて映し出される特撮シーンは圧巻です。本家のメカが一機に複数人搭乗出来る広めなコクピットだったのに対し、こちらは従来の戦闘機のように狭いコクピットにパイロットが一人。 より「実機」に近いアプローチで描かれたメカニックたちは、今の目で見ても痺れるほどのリアリティを放っています。模型好きならこの作品を見てMATメカのプラモが欲しくならないわけがないのです。そしてこの数十年前を知る者たちの熱意に応えるように、まさかのプラモデル化を果たしてしまったのが、フジミ模型の「1/72 マットアロー1号 DAICON FILM版」です。


このキットが面白いのは、再現したのが実在の戦闘機でも劇中の架空機でもなく、あくまで「30年前にアマチュアの若者達が作った撮影用模型(プロップ)」であるという点です。30年前の自主映画プロップが一般販売のプラモになるという奇跡 ! 手に取ると、当時のクリエイターたちが「カッコいいメカ」を形にしようとした、あの熱量がプラのパーツ越しに伝わってくるようです。キットは接着剤不要のスナップフィット 。ストレスフリーでどんどん組み上がっていきます。


塗装をせずスミ入れだけでも大満足の仕上がりになり、もうこれだけで優勝です ! もちろん、そこからさらに塗装をしたくなるような素晴らしい造形美を誇っていますが、この白いままの姿も非常に清潔感があってかっこいいです。機体裏のモールドの密度感も素晴らしいですね。

かつての若いクリエイター達の想いを緻密に再現したこのキット 。ぜひ皆さんも、自分の手で組み上げながら「あの頃の熱」を感じて欲しいです!