
モダンなスケールモデルメーカーとして、AFVを中心に飛行機も船も製品化してきたタコム。そのタコムが新ブランドとして発売したのが「スーパーブリッツ」です。なにそれ?

元々タコムが発売してきた既存ブランドに、「ブリッツ」というものがありました。これは少なめのパーツ点数で組み立てやすさを優先したブランドだったわけですが、「スーパーブリッツ」はその方向性をさらに発達・洗練させたものとのこと。高精度のパーツや部分的な車内再現も盛り込みつつ、今までよりさらに効率よく組み立てられるようになっている、というのが特徴のブランドです。快速が急行になったわけですね。

というわけで、このスーパーブリッツ版パンターG型(後期型)を見てみると、ランナーの時点で素早く組み立てられそうな工夫がちらほら見えます。特に注目なのが、半円形の部品で繋がった転輪。ドイツの戦車で見られる、挟み込み式のいわゆる千鳥転輪は、戦車一台で何列も転輪を組み込むことになるので、案外組み立てが大変。しかしこのキットでは必要な転輪が横につながって1パーツになっているので、1列ごとに車体にガバッとくっつければそれで終わり!

トーションバーサスペンションのアームも最初から車体にくっついてるし、履帯も部分組み立て式で足回りはラクチン! これぞスーパーブリッツ!

だからといってパーツに手抜かりがあるわけでもなく、タコムっぽい真面目なディテールは健在。スライド金型で大部分が一発抜きになっている砲塔を見れば、装甲表面のザラつきや溶接跡が丹念にモールドされているのがわかります。ショットトラップ対策として量産の途中から採用されたアゴ付き防楯も入ってるし、その防楯の表面のデコボコ具合も実感ありまくり。

砲身は金属製の挽物パーツが入ってたり、車載機銃用の暗視装置は3Dプリントされたパーツが同梱されてたりと、モダンなスケールモデルらしいサービスもしっかりしてます。

組み立て工程にも、スーパーブリッツな工夫がてんこ盛り。エンジンのパーツは「ハッチを開けた時に見えるところだけ」が入っているので、手軽な工程でエンジン整備中を再現することも可能。


さらに驚きなのが、砲塔上の車長用キューポラの組み立て工程。ペリスコープガードを一個一個くっつけるのは面倒……ということで、ランナーに円形に並んだペリスコープガードを一気に切り取り、キューポラの周りに置いて接着すれば、そのままバッチリ位置が決まるという工夫が盛り込まれています。スーパーブリッツだ!


完成してみれば、もう紛れもなく現代的なパンターG型の姿が出現。トラベルロックの状態やマフラーの形状、車体後部の雑具箱の形やサイドスカートの有無は選択可能になっており、どの車両を再現したいかで選ぶことができます。

素早く組み立てられるだけじゃなくて、解析と考証の進んだ現代のドイツ軍戦車キットとして、遜色ない気遣いですね。


というわけで、タコムの真面目さと「どうやったらパンターを素早く組めるか」という気遣いが交錯する、スーパーブリッツでした。近年の戦車模型としては価格も抑えめで、「サッと買ってスパッと作ってくれよな!」というメッセージが明確。コンセプトとアティチュードがわかりやすいプラモデルというのは、やっぱり組んでて楽しいですね。ということで、皆様もぜひ!!