
グッドスマイルカンパニーの人型プラモデルブランドPLAMATEAから生まれたガールズプラモシリーズ「VALKYRIE TUNE」。リサ=キャスターと並んで登場したのが、極端にドジでプレッシャーに弱いという設定を持つアイリス=ブルックナーです。性格も立ち位置も対照的なふたりですが、プラモデルとして見たとき、その違いは単なるキャラクター付けだけではありません!
まず手に取って気づくのはサイズ感。リサを標準的な体型とすると、アイリスはひと回り小さい。結果として、シリーズものにありがちな共通ランナーは存在しません。同じ「VALKYRIETUNE」という括りでありながら、体型から構造まで、それぞれのキャラクターに向き合ってゼロから設計されている。PLAMATEAがこれまで初音ミクや『艦これ』、さらには男性キャラクターまで幅広く扱ってきたシリーズであることを思い返すと、この「共通化しない姿勢」はむしろ自然で、ブランドとしての一貫性すら感じます。

アイリスの衣装は、マーチングバンドを思わせるデザイン。白を基調とした服に、縁取りの金色が非常に多く入りますが、ここを塗装済みパーツと色分けで丁寧に処理しています。服側はプリペイント、帽子はパーツ分割で金装飾を再現。さらっとやっているように見えますが、実際は難易度の高いことを、あまり誇示せずに成立させているあたりがいかにもグッスマです。

構造面で面白いのが、肩から二の腕にかけての白いフリル状パーツ。装飾品としての存在感が強い部分ですが、接続は工夫されていて、上腕の後方から斜めに伸びたボールジョイントで保持します。腰回りも含め、小さなボールジョイントを使って装飾をうまく制御している印象で、「よく動く」と「見た目を崩さない」の両立が意識されています。


付属する<ハーモニックウェポン>はチューバタイプ。巨大な金管楽器がぐるりと変形し、エネルギー砲(公式設定ではマイクロウェーブ兵器)へと姿を変えます。マウスピースらしき意匠や持ち手になりそうな箇所が随所にあり、ポーズ付けの自由度はかなり高い。楽器としても武器としても成立するデザインです。


股関節構造を見比べると、リサとの違いがはっきりします。リサは内股気味のポーズを取りやすいスイング構造でしたが、アイリスは長めの軸の先にボールジョイントを設けた構成。体格差もありますが、これは彼女が持つ武装を考慮した設計です。重たい楽器を抱えても姿勢が破綻しないよう、安定性を優先した構造になっています。キャラクター性と装備、そして可動の関係をちゃんと考えているのが伝わってきます。ただし、さすがに武装が重い! なので可動台座は2基付属します。アイリス本人用と、武器サポート用。こういう割り切りも潔く、無理に「自立できます」と言い張らないのが好印象。

組み立ててみると、色とデザインの完成度が非常に高く、素組みでも満足感は十分。しかも組み上がりは速く、リサと合わせて1日で2体組んでしまうことも現実的です。華やかさの割に重さを感じさせないのは、シリーズ共通の美点でしょう。

関節サイズや強度を落とすことなく、全体をコンパクトにまとめ上げたアイリス=ブルックナー。すぐ組めて、しっかり遊べて、しかも構造を見る楽しさがある。リサ=キャスターと並べたとき、キャラクターとしても、プラモデルとしても「対」になっているのがよく分かります。VALKYRIETUNEというシリーズの方向性を、体感的に理解するには、この2体をセットで組むのがいちばんです。