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劇パト2で知った「Mig-25の亡命騒ぎ」の元ネタをあえていま!/ハセガワ 1:72 Mig-25 フォックスバットを組む。

 1976年9月、日本を震撼させたベレンコ中尉亡命事件。「自国の最新鋭機に搭乗中に逃亡、低高度侵入で日本の防空網をかいくぐり函館空港に強行着陸」という下手なフィクションよりよっぽどケレン味ある大事件なのだが、今回知って驚いたのがその約半年後には事件の主役であるMig-25をハセガワがプラモデルにして販売していたという事実。「この世界的事件をプラモにして後世に残すぞ!」という意欲たるや。商魂たくましい側面もあるがその当時性までもがパッケージされることになり、再販のたびに伝播する機会となっている。事実、自分が生まれた頃の大事件を見つめなおす機会となった。

 事件の当事者ベレンコ中尉が2023年に亡命先のアメリカで死去したことに応えてか、今年再販されたハセガワ1/72 Mig-25 フォックスバット。いま買えるキットがどこまで当時のままかは知らないが、説明書には事件のことを明記せずとも「ベレンコ中尉機」をデカールで再現できたり、函館空港での様子を再現したジオラマ写真が掲載されてる。翼の形状など事件のMig-25とは相違があるらしいのだが売れに売れたとのこと。それがあってか数年後のガンプラブーム下においてもヒコーキ模型を主軸にし続けて「飛行機のハセガワ」という印象を多くの人に決定づけるきっかけだったとか。

 半世紀前の「ベレンコ中尉亡命事件」が刻まれたモニュメント的工業製品という価値を有してしまっているキットなのだが、例によって1,000円前後で手に入る。そのハセガワの寛大な姿勢にはグッと来ざる得ない。もはや組んでも組まなくてもコレクター欲を満たしてくれる一箱だけども、どんな組み味なのかを確かめたくなった。当時なら苦労多いキットだったのだろうが、速乾の流し込み接着剤など現代のメソッドを用いれば難なく済んだ。そう、ベテランキットにバリはつきものだけども、シタデルのモールドラインリムーバーがミニチュア以外でも大活躍する。

 ベレンコ中尉が最新戦闘機で成した「低高度侵入でレーダー防空網を突破」というハックは当時主力戦闘機であったF-4EJの改良を迫ることになり、日本に限らず各国の防空システムの脆弱さを示すことにもなった。 舞台は日本といえども、世界の防衛戦略のターニングポイントとも言える大事件をプラモデルという形で読み取る機会をカジュアルに与えてくれるハセガワ…… 偉い!尊い!

 組み上げてデカールを貼れば『劇場版パトレイバー2』で荒川が語る「日本の防空体制と国防意識を揺さぶったMig-25の亡命騒ぎ」の元ネタが完成。同スケールのF-4EJ改と並べるとその巨躯ぶりを実感する。ハセガワが時事ネタに素早くミートして作り上げ、いまに至るまでその輝きを失うことのないフォックスバット、みなさんもぜひ。

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