
「ゴジラのプラモデル」が完全にブームになっています。ひと昔前なら少量生産のガレージキットでしか手に入らなかったようなハイデフな造形が、ニッパーと接着剤さえあれば誰でも組み上げられ、模型店で売られているフツウの塗料で塗れてしまうという怪獣造形の民主化が進みまくっており、どの映画に登場したゴジラを作りたいか、どのメーカーのを作りたいかを選び放題というめちゃくちゃ豊かな状況です。

さて、海洋堂のARTPLAシリーズ「SCULPTURE WORKS ゴジラ Re:イマジネーション」がジオラマ的な仕立てになっており、その土台が鉄道模型としてあまりにも濃いい思想によって成立しておるということは下の記事で書いたわけですが、当然ながらゴジラ本体もまあすごいという話をしたい。
小さめの焼き芋が半分に割れたようなパーツには大小様々な長方形の凹みが穿たれております。要はこのカタマリがゴジラの筋肉であり内臓であり、すなわち芯になるところ。ここにゴツゴツとした表皮を貼り付けていけばゴジラが顕現します。このあたりは少し先行したアオシマ製ゴジラの「幾何学的な鉄骨的な芯に表皮を取り付けていく」という設計思想とはまた違うおもしろさがあります。

すでに約束された体積の表面に、曲面で構成された表皮を貼り付けるというのは「俺はいま生物を形作っているのだなぁ」という感慨があります。バルキーな胸筋、プロレスラーのようにハリのある腹周り、彫りの深い顔などなど、作る途中に現れる景色がこんな感じであってほしいな〜と願う開発者の顔が浮かびます。その大小として、表皮を貼る順番を間違えると組み上げられずに詰むことになるので、説明書のイラストに入れられた番号をしっかりと確認しながら工作しましょう。

背びれは近年のゴジラ造形のように互い違いに重なり合って立体的に交錯するものではなく、わりと小振りなものがぴしっと整列しているのが”初ゴジ”の特徴でもあります。当時の着ぐるみ製作における技術的な制約はプラモデルの設計的にもシンプルさをもたらす要因となっており、ある程度まとまった数の背びれを土台ごとズバズバ取り付けていく快適な組み味に繋がっている……というのもおもしろいポイント。

胴体、頭部、腕、脚、尻尾がゴロンゴロンと出来上がり、それらが隙間なくガチっと組み合わさって巨大な体躯となっていくのは快感のひとこと。パーツの接合面がことごとく曲線的なのでゲート(パーツと枠がつながっている部分)の切断跡を丁寧に処理してから接着しないとパーツ同士に隙間ができてしまうので要注意。しかしゲート処理さえしっかりとしてあれば、どこが合わせ目立ったのかわからないほどビタッと接着できます。いやホント、こういう造形がしっかり組めるのって2020年代に急速に進歩したプラモデルの新鮮な美味しさです。

超絶出来の良いレンガ積みの高架をかたどった土台にゴジラを乗せてハイポーズ。噛み砕かれる客車、崩れ落ちるガーター橋、そして散らばる瓦礫と見どころ満載のジオラマ的空間が見事な配置で誰にも平等に手に入るのが最高です。土台とゴジラはそれぞれ別に仕上げてから最後に合体できるので、塗装したい場合もプランの立てやすい構成になっています。

ARTPLAシリーズとしては初めてのモチーフであるゴジラですが、海洋堂がこれまで大得意としてきた特撮/怪獣造形の文脈をしっかりと引き継ぎながらブラッシュアップした造形をプラキット化し、「選ばれし者」ではなく誰もが手持ちの道具でビシーっと組めるようになったことがめっちゃ嬉しいこのアイテム。次回作はキングギドラですが(これも本体/台座ともに強烈な造形!)、まずはこのゴジラをぜひとも手に取り、組んで塗って飾って楽しんで下さい。そんじゃまた。