
トラス構造が嫌いな人間はいないと言われています。それがすこしひしゃげた複々線用のラーメン架線柱であった場合などいとおかし……というわけで、海洋堂のARTPLAシリーズ最新作、「SCULPTURE WORKS ゴジラ Re:イマジネーション」です。

いわゆる初ゴジの”電車咥えポーズ”をイメージソースとしながら、稀代の原型師である松村しのぶ(チョコエッグでみんなお世話になったはず!)がリミックス&リマスターした造形をジオラマ的なプラモデルに仕立てた一作。そしてゴジラの組み立てを云々する前にオレは言いたい。このプラモは鉄道部分があまりにも良すぎる!「歪んだ国鉄60系客車の外板と床下機器をメチメチと貼っていくエクスタシー」などというのはこれまでこの世に存在しなかったわけで、その時点でエポックメイキングと言わずしてなんとする。

メコメコに噛み砕かれた客車をゴジラの上顎と下顎でサンドイッチするの、こんなに楽しいのかよ。そして歯の造形もシワの造形も客車のせいで歪んだ唇の造形もまた楽しい。こんなに小さいのに台車が片方外れて心皿が見えてんのかなコレ……みたいなディテールも彫刻されていて、「なんとなく電車」じゃなくて「”電車咥えポーズ”というのは俗称で、これEF58形電気機関車に牽引されてた客レなので電車じゃなくて無動力の客車だからな!」という気迫が伝わってきます。もしくは私が勝手に受信しているだけかもしれません。

有楽町あたりをイメージしたという高架の表現もまた素晴らしい。味も素っ気もないスラブ軌道ではなくバラスト敷で枕木もレールもヨレヨレ、レンガ積みの欠けや石のアーチに入った亀裂も非常に美味しく、箱組みなのにビタンバチンとパーツが合わさって立体的なジオラマベースになっていくのを誰でも味わえる……。こんな造形、ひと昔前なら文字通りガレージキットか高額な塗装済み完成品でも買ってこないと楽しめませんでしたから、プラモデルで組めて、なんなら塗れるというのはとても嬉しい。

ガーター橋を踏み抜くゴジラ、あたりに散らばる瓦礫!「複々線でビームがそんな高いところにあったらパンタグラフが架線に届かないでしょうが」というオタクの戯言より大事なのは全体の雰囲気ですよ雰囲気。ここに日本初の高架があり、忙しなく列車が往来する複々線があり、電化されているということを示す記号を誇張することで、初ゴジが東京を蹂躙しているという情景を強力に示しているわけですよわかりますか早口ですみませんねホント。

クチに2両も咥えているのに手でも1両持ってこちらを睥睨、「旧客美味しいです!」と言わんばかりのゴジラ氏。ダイナミックなゴジラの造形とパーツ割りに対し、小さくとも抜かりなく分割してあらゆる角度から鑑賞できるように設計された客車によって「巨大生物とちっぽけな人工物の対比」が見た目にも組み味的にも脳髄を直撃するレベルで伝わってくるのがめっちゃいいんですこのプラモ。

ということで鉄道の話ばっかりしましたけど、キット全体を見ると「組んだらゴジラができますね」という当たり前のその向こうに、海洋堂はちゃんと挑んでいます。私が次回ゴジラの組み味の話をするまでに、あなたも同じプラモを買って手元に置いてパーツを眺めながら……あるいは組んだ状態で「そうそうそう!」と言いながらいっしょに語り合いましょう。ものすごくおもしろいプラモです。みなさんも、ぜひ。