
Hondaの新型プレリュードが大人気だ。「どことなくプリウスみたいな見た目のわりにだいぶ高額だし、言うて中身はシビックType-Rとほとんど同じようなクルマでしょ?」と多少冷ややかな目で見ていたのだが、フタを開けてみれば受注は大爆発。実車が展示されるイベントでは老若男女が実車に群がってひっきりなしにドアを開けたりハンドルを握ったりしているので、やっぱりニューモデル(&伝統のある名前)というのは強いんだなぁ……と感心する。さて、そのプラモデルのたったひとつのディテールの話。

実車の発売とほぼ同タイミングで発売されたタミヤの1/24 プレリュード(これはHondaが図面や資料を提供してそうなるようにタミヤに売り込みをかけたのが真相だ)をしげしげと眺めていると、とにかくシートの分割がやたらと凝っている。実車の色分けと構造を再現するためにひとつのシートが2色4パーツに分割されていて、バックレストの側面にベルトループ、背面には縦に入ったスリットとそこから突き出したノブが彫刻されている。おそらく実車でも特徴的な箇所だからわざわざ彫刻したのだろうが、その用途が皆目検討もつかない。

……というのはウソで、小さなノブはシートを倒すためのレバーであろうというのはなんとなく予想がついた。実車を眺める機会があったので「このレバーはなんのために付いているのですか」とスタッフに尋ねると「後席の人が乗り降りしやすいよう前席を倒すためのレバーです」と概ね予想通りの返事が返ってきた。「なるほど〜」と感心したふりをしながらドアを開け、レバーを操作して驚いたのは、本当にバックレストがバタンと前に倒れるだけの機能しかなかったこと。前席そのものをスライドさせるには座面の横にあるレバーを別途操作しなければいけないのだ。

じつのところ、新型プレリュードの後席は名だたる自動車レビューサイトも「かろうじて人間が座れる程度の空間」「頭の上は全部ガラス」「内側に傾斜したCピラーが頭に当たる」「子供を短時間乗せるなら実用範囲内」と評しており、前席を適正なドラポジに合わせるとバックレストと後席の座面の間には脚が入る隙間もないというのが実情だ。タミヤのプラモデルも前席は決められたポジションで固定する設計となっており、組み上げてみると後席に人間が座るのはほぼ無理なのがわかる。

ならばどうして「前席を倒すレバー」がこんなに押し出しの強いディテールになっているんだ……(しかも前席をスライドするレバーはどうやっても後席から届かない位置にあるではないか!)とうろたえても始まらない。このクルマのコンセプトはあくまで「二人の時間を演出するスペシャリティクーペ」であり、後席を前に倒せば巨大なラゲッジスペースとして使用できることも大きなセールスポイントだ。タミヤもおそらくこのクルマのちょっと不可解なところも理解したうえで、きちんとセールスポイントを押し出すために後席が畳める可動ギミックを実装し、新型プレリュードの”特徴”を伝えようとしている。しかし、機能の再現だけで終わらないのがタミヤのプラモデルのおもしろいところ。続きは後日。そんじゃ、また。