
大学1年生のころ、フィルムカメラにハマっていた時期があった。フィルムを巻き上げるレバーの感触や、メカニカルな各種ダイヤルたちを気に入っていたが、何よりもまず、愛用していたPENTAX SPの銀色のボディが好きだった。銀色のメカをガシャガシャ動かして写真を取るのはとても楽しい。

AIRFIXのスピットファイア PR. XIXを買ったのは、箱に書かれた銀一色の機体に惹かれたからにほかならない。しかもこの飛行機は偵察機で、空中から写真を撮るための機体だ。フィルムカメラを使って、はるか上空から地上を撮影していたのだろう。そういえば都市論の講義で昔の日本の航空写真を見たことがあるが、あれもこういったカメラプレーンから撮影したはずだ。

箱を開けると、各パーツはかなり小ぶりな印象。なかでも特徴的なのがボディや胴体下面のパーツで、写真撮影用と思われる窓がしっかりと再現されている。一番気に入ったポイントはモールド(プラ表面に彫られている彫刻)で、細かく精密というわけではないが、必要十分なパネルラインが深く彫刻されていて、スッキリとした印象がある。筆塗りしてもモールドが埋まる心配がほとんど無く、ラフに楽しめそうで「このプラモはすぐに完成させられそうだ」という実感を与えてくれる。

そして嬉しい誤算だったのが、非常に小さなパイロットの人形が付いていたこと。1/72スケールの飛行機にはパイロットフィギュアが付かない印象だったので、これは意外だった。タイヤを格納した飛行状態を再現したいときに、パイロットがいなければ幽霊船のようになってしまう。それはそれでいいのだが、小さくてもパイロットがついていれば飛行状態で完成させる心理的ハードルが下がるので嬉しい。特にタイヤを含む足回りをスキップしてすぐに飛行機の形にしたいときにぴったりだ。
ユニークな銀一色の非武装タイプの飛行機だが、かなりお手軽にスイスイ制作できる。ボディや翼をシルバーに塗るのが今から楽しみだし、間違いなくおすすめできるプラモデルだ。