

筆塗りしていると、重ね塗りした時に下の塗料まで抉(えぐ)ってしまうことが良くあります。これを「汚くていやだな〜」と思うのか、「お! ご褒美!!」という心境で筆を握るかの違いだけで、筆塗りに対するハードルはガクンと下がり、より楽しいものになります。

エアブラシで塗装したような均一感を筆塗りで目指すのなら、厚塗りや塗料の抉りやめくれは無い方が良いです。でも僕は、このタミヤ 雷電のパッケージイラストのような陰影表現をプラモに落とし込みたい人なので、均一に塗るということを重視していません。そのような方向性の筆塗り時においては、筆で塗料を抉った場所も良い表現になってくれるのです。

白を重ね塗りしていたら、写真中央あたりのパネルで塗料を抉ってしまいました。でもこれ、全く意図してないので作為的でなく、なんだか自然なダメージ感がありますよね。こういう部分はあえて抉った部分をとっておくのです。「抉り・デス・ヤーレス」受賞です(ドイツ語で”抉りof the year”のこと)。

で、また抉ってしまいした。でもここで焦って修正しようと思うと、かえって汚くなります。完全に乾燥するまで待ちましょう。でもただ待っていてももったいないので、違う部分を塗りにいきます。

1箇所に固執せずに、全体をぐるぐると周回するように塗っていくと、抉った部分も乾燥して、問題なく重ね塗りができます。抉った部分を綺麗に修正したい場合は、必ず完全乾燥させてから重ね塗りしましょう。そうするだけでかなり綺麗に修正できます。

で、違う箇所を塗っているときもまた抉る……。乾燥のためにまた違う場所へと移動するのです。まさに我らは筆塗り遊牧民。筆一本でプラモの上をあちこちと渡り歩くのです。

ほぼ全てのパネルで抉ってますね。こういう抉りフェス会場は、この上からどんなふうに塗料を重ねてみるかな〜と考えるのが楽しいまさにメインステージと言えるでしょう。狙ってもなかなかできない表現となり、模型のアクセントにもなりますよ。

こういった作為的ではない表現が重なると「味があるね〜」なんて言いたくなる塗面になりますが、筆で抉ってしまった箇所を活かすのは「味」ではなく「テクニック」。筆塗りを続けていくと、自分だけの塩梅が見えてきて、抉りを活かすことが楽しくなってきます。失敗だと思っていたことが、一瞬で仲間になってくれるので、筆塗りで抉ってしまった箇所を時には大切にしてやってくださいね。それでは!