

この景色を見たかったんだ……!心揺さぶるコンテンツのかけ算がある。競走馬のナラティブとギャルゲーの味わいを融合させた「ウマ娘」。美少女に対する”萌え”を、愛車にぶちまけて出来上がる「痛車」。そんなウマ娘を痛車にして、それをプラモデルにしてしまったというオタク的チェインリアクションの結晶が満を持して発売された。アオシマより、1/24痛車シリーズNo. 1「ウマ娘 プリティーダービー ZN6 TOYOTA86 ’16」だ。

涼宮ハルヒ×RX-7の痛車を初号として2008~2013年ごろまで30種以上を発売したアオシマ痛車シリーズが、装いを新たに復活。ウマ娘イラストを全面に押し出したパッケージが眼を惹く(というかデカすぎる)が、そこに「痛車」の文字はなく、ハコ側面にちまっと書いてあるだけ。痛車という自虐を含んだワードが小さくなったのは、この10年で美少女コンテンツがサブカルチャーからいわゆるポップカルチャーへと変容したことを表しているようで、ちょっぴり切なくなった。

美麗な水転写デカールと、同デザインのシールが付属している。これ、個人的にはとても嬉しかった。「シールは補修用」と考えたら気が楽だったから。デカールを貼るのは好きだけれど、不注意で触ってよく破くのです私。やっぱり車のなめらかなフォルムを堪能するなら薄いデカールで完成させたい。

ボディは純白。塗装しなくてもデカールをそのまま貼ればバッチリ発色するだろう。キラキラのメッキパーツはゲキマブでとても美しい。

塗装も考えず無心でチマチマ組み立てるシャーシの工程は楽しい。繊細な作業もあるが、流し込み速乾接着剤&タミヤセメントを使い分け、シャフトとエキゾーストが織りなすグルーヴに身を委ねる。ちなみにキャンバーをつけたり、ローダウン仕様にもできる。今回はローダウン仕様にしてみた。ウマ娘は極端に前傾した低姿勢で走るのだ。

塗装箇所は主に半ツヤブラック指定だが、気まぐれでタミヤスプレーのコーラルブルー(メジロカラーだ!)を使った。ウインカーはオレンジのマッキーを使用。内装の塗装は全スルー。新品の歯磨き粉の様に爽やかな86が中間成果物として出来上がった!のだが、ここまでの道のりは険しいワインディングロードだった。
ランナーにABCの記号が無く、複数ランナーにまたがって通し番号が振られた見つかりにくいパーツ群。何をどうやってもうまくハマらないヘッドライト(ハイグレード模型用セメダインで無理やり固めた)。その他諸々の試練、試練。しかし途中から逆にそれを楽しむことにしたのだ。ケガを乗り越えたウマ娘育成のエンディングが狂おしいぐらい感動的なのを私は知っている。

そろそろ大詰めだが、険しいレースは続く。サイドの大判デカール2枚が強敵だ。ドリームジャーニーシナリオのウオッカ(日本ダービー)ぐらい強い。フェンダー部分の曲線がまるで合わないし、リアウイングとは完全に干渉する。貼って初めて気づく!どうする!落ち着け。ボディ上でデカールを切りながら貼る。
そしてリアフェンダーのあたり、ちょうどシワが寄る曲面上にウマ娘の顔が来てしまう。マックイーンの御顔にだけは絶対にシワをつけたくない!デカール上にマークフィット(スーパーハード)をビチャビチャに浸して軟化させしばらく放置。それでも残ったシワはドライヤーで温めながら、丸めたキムワイプをマークフィットで湿らせたものでポンポンするという、咄嗟に編み出した謎テクニックによって御美フェイスをシワ無く密着させられた。やはり一部不注意で触って破けたりしたが、シールで補修したり、気にしないようにした。

完成してみれば、もどかしくも楽しいレースだった。初期のウマ娘育成で『うまぴょい伝説』を見る為に何周もプレイしたのを思い出した。ゲームもプラモデルも、やはりSSRサポートの用意があると嬉しい。基本の道具であるニッパー、デザインナイフ、ピンセットに加え、流し込み接着剤(速乾)、タミヤセメント、ハイグレード模型用セメダイン、マークフィット(スーパーハード)、大きめの絵筆(デカールをスライドさせたり、水を追い出すために使う)、キムワイプが強力なサポートをしてくれた。満身創痍だが、走り切った後の感動は極上だった!