
カーモデルはだいたいタイヤが黒いので黒背景ではなく白背景で写真を撮りたい。そうすると白い車は輪郭を出すのがものすごく難しいのです。プロのレタッチャーをやっている友達に訊きましたが、実車でも「白背景✕白い車」を撮影するときはクルマの天面にグレーを写し込んでから白背景と合成したりするのがけっこうあたりまえに行われているそうで、イッパツで撮影するというのはまあ暴挙なわけです。ところがアオシマの新生痛車(と、グラフィック入りの「ザ☆チューンドカー」)シリーズは全部白ボディがベースになっており、そんなら色を付ければいいじゃないかというのが今回完成させたプラモの出発地点。
下地をメタリックパープルにしたのは、デカールがほんのわずかに透けるという前提で「顔色がイヤな感じに変わらない色」を探した結果。ブルーやグリーンが下地になっているとキャラの肌が不健康な色になってしまうし、彩度の高い赤やオレンジはデジカメで撮影すると色飽和を起こしやすい。痛車模型において紫はその中間で扱いやすく、メタリック粒子のギラギラが立体感を強調してくれます。この考え方だとウォームグレーやアイボリー、マルーンなんかも候補に上がってくるのでみなさん各自研究しましょう。

さて、カーモデルの世界には「テカテカに仕上げてあるとうまい」という価値観があり、実際に光沢で仕上げると気持ちいいことは間違いありません。そもそもテカテカのクルマを撮影するというのは白いハイライトによってによりテカテカであることを示し、そのテカテカがボディの起伏を示してくれる照明の位置を探すということでございます。しかしキャラの顔にハイライトが入るとキャラが見えなくなり、キャラが見えるようにハイライトが入らないようにするとボディの立体感がなくなります。ジレンマ!そこで私は攻めのツヤ消しクリアーを選択、デカール表面の微妙なツヤのムラも一気になくなり、さらにグラフィックが良く見えて最高。

ここまで来たらクルマのカタチをもっと強調して、グラフィックの色味とマッチした全体の統一感も演出したい。そんならわざとボロく見える塗装を施したラットスタイルで仕上げるのがええんじゃないかということで、エッジにスポンジで塗装ハゲだのサビだのを乗せ、茶色やオレンジ色のウェザリング(汚し)用塗料で全体をさっと洗うように染めました。汚しは派手にしすぎずグラフィックと馴染む範囲にとどめていますが、つや消しが質感を揃えてくれるおかげもあってボディの色とキャラの色が喧嘩せず、写真にしたときのまとまりもGOODですわ。

痛車は自動車模型的なリアルさよりも自動車のスタイリングと貼ったグラフィックが両方とも写真に写ることのほうが大事なのでは……という出発点から色/ツヤ/汚しで走り抜けた今回のブラックラグーン セリカ。光沢クリアで埋めて磨き上げるのも楽しい工程ではあるのだけど、白ボディ+巨大デカールの組み合わせではどうしても写真で苦労します。だからこそ痛車模型におけるつや消し仕上げはその問題を回避しつつ良好な仕上がりをもたらしてくれる(決して「逃げ」ではない)有力な選択肢だと思います。みなさんも、ぜひ!