

アオシマの新製品、「土岐綾乃のミニバイク」の中身は、同社が07年に発売して長らく仕様を変えながら模型店に並び続けているホンダApeである。ハコを開けてオッと声が出たのは、同社が一昨年発売したK0(1/12 ホンダ CB750 ドリーム CB750 FOUR ’69)と同じプラスチックの色が目に飛び込んできたこと。
劇中で明言されているわけではないが(それがおそらくこのプラモデルがHondaのライセンスを取得しつつも製品名に社名や車種をハッキリと謳わない理由であると思われるが)、綾乃の乗るApeはナナハンフォアの韻を踏んでパールコーラルリーフブルーのタンクを装備した2008年発売の「Ape 100 スペシャル」と目されている。

このプラモデルに土岐綾乃のフィギュアは入っていない。しかし、土岐綾乃のバイクであることを明示するためにキャリアに積まれたキャンプギアとヘルメット(こちらもモデルはSHOEIのJ・Oと目されている)が新規パーツとして付属している。カッチリと硬質なバイクに、ふんわりと柔らかい布の質感が合わさるだけで「ゆるキャン△」の世界が立ち現れるのは、プラモデルの順列組み合わせによる演出の妙だ。

そのかわりに……と言っては何だが、箱の底には綾乃の”ペーパーフィギュア”が入っていた。アニメグッズの世界では3次元的なフィギュアよりも安価で置き場に困らないアクスタが存在感を増して久しいが、このキットの良いところは、たとえ綾乃本人が不在であっても、バイクと装備とナンバープレートから”綾乃がそこにいる”という息遣いを感じられる点にある。アオシマ製の『ワイルド7』のナナハンフォアがそうであったように、主役不在の情景を仕立てるのも本製品の粋な楽しみ方と言えるのではないだろうか。