

マシーネンクリーガーの世界から、ニンジャというメカがプラモデルになった。WAVEの最新アイテムだが、これを組むと40年分の時間旅行を体験できる。作品世界と現実世界の両方がお互いに絡み合って実現した老舗コンテンツの最新キットは、まさに創業以来継ぎ足しながら提供されてきたうなぎのタレみたいなものなのである。
ニンジャはシュトラール軍の反重力無人偵察機「ノイスポッター」の武装強化型である「クラッフェンフォーゲル」をさらに改造して月面用強襲偵察仕様とした兵器であり、プラモデルでもまずノイスポッターの芯を組むことになる。ノイスポッターは日東という会社から1985年に発売されたプラモデルで、「これ、他のプラモデルでみたことあるな……」というパーツがランナーのそこかしこに配置されている。原作者の横山宏がかっこいいパーツを組み合わせて創り上げた世界を、我々も追体験できる。

ノイスポッターの金型は一部が紛失し、WAVEが紛失部分のパーツを復元することによって2019年にリニューアル製品化。この時点で34年越しの「新旧のチカラが合体して現代に蘇る!」というアツいストーリーを体感できたわけだが、ここからの展開はさらにおもしろい。

ノイスポッターの武装強化型、クラッフェンフォーゲルは日東時代に大量の金属パーツを同梱して発売されていたオーパーツ的存在だ。私が札幌のセントラル模型という模型店のショーウィンドウで見た当時ものの完成品はシャープさと異質さの混ざりあったルックで深く印象に残っているが、こちらもWAVEがプラスチックパーツを新規に開発して2020年に製品化。あの激レアキットが誰にでも扱えるプラスチック素材で手に取れる時代が来るなんて!と驚いた。

WAVE製のクラッフェンフォーゲルを使って’21年に原作者の横山宏が月刊ホビージャパン誌上で発表した改造作例が月面用の強襲型偵察機、ニンジャである。マンガやアニメやゲームじゃなくて、原作者の脳内で繰り広げられる傭兵軍とシュトラール軍の戦いが「模型」を媒体として発表され、これが模型誌の誌面に掲載されたりメーカーから製品化されるのがマシーネンクリーガーのめちゃくちゃにおもしろいポイントだ。

そして先日発売されたWAVE製のニンジャは、日東製のノイスポッターのパーツ、WAVEが復元したノイスポッターとクラッフェンフォーゲルのパーツ、そして新規に作り起こされたニンジャ専用のパーツという4つの製品が合体したもの。ユーザーはこれらの地層を掘り当てるようにしながらパーツを切り出し、貼り合わせ、なんだかよくわからない不気味な(しかしどう見てもかっこいい)無人偵察機を作り上げることになる。

マシーネンクリーガーの造形は彫刻的な佇まいで部屋に強烈な異物感を持ち込んでくれるのがおもしろい。ここから筆塗りで好きな色に塗ってもいいし、このなんとも言えないブルーグレーをそのまま味わってもいい(各所にチラッと見える真鍮線の色も無機質でかっこいい)。
マシーネンクリーガー、なんだか気になるけど手を付けづらいなぁ……と思っている人がいたら、ぜひニンジャを組んでほしい。はるか昔のちょっと気むずかしいプラモデルと、ここ数年でメキメキと組みやすくなっているWAVEのプラモデルが目の前で握手をし、長く続く歴史を見せてくれるのがとてもキュートなのだ。