フィクションのようなスケールモデルでござる/アオシマ OH-1ニンジャ&トーイングトラクターセット

 「カワサキのニンジャ」といえばバイクがおなじみなわけですが、実はカワサキ製の乗り物にはもう一つ「ニンジャ」がいます。
 陸上自衛隊の川崎重工製観測ヘリコプター「OH-1」愛称「ニンジャ」。静粛性を活かした観測(≒偵察)任務に特化した開発経緯と宙返りも可能(!)とする運動性、そしてその呼び名もあってちょっとできすぎなカンジがする存在。

 アオシマのキットは飛行機モデルのシリーズではなく精力的に陸上自衛隊装備を製品化している「1/72ミリタリーモデルキット」のラインナップとして2016年にヘリコプター単独で製品化。その翌年にはパーツを追加したトーイングトラクターセットが登場しました。

 組み上げると思わず笑ってしまう程カッコイイ。1997年の制式採用からずいぶんと長いことプラモデル化されてこなかったので、実機の事はといえば「ふんわりとしか知らない」程度だった。「ゲームに出てくる架空の機体です」って言われたら信じちゃう。だってタンデム配置の二人乗りで、四角いインテークがせり出していて独自技術のメインローターと内蔵式のテールローターに漠然とカッコイイ小翼が生えている……自衛隊が20年以上前に配備した純国産ヘリなんだということがにわかに信じられないくらい。パトレイバーよりリアル(だから実在なんだってば…)。そのくらい「ウソみたいにカッコイイ」。

 そんなテンションは組み始めから全開。最初の工程のコックピットから多面体の集合でなんだかすでにSFメカのよう。黒い成型色に計器類のデカールを貼るだけでこの姿になる。

 ローターの根本は「無関節式」という独自機構。名前の通り他のヘリコプターより節っぽさは少なくて洗練されている印象。そんな中からもメカがチラ見えする様はここもなんだかSFっぽい。実機は優に20年越え(!)の装備なんだけどね……

 ポリキャップを治具に挿して薄く、半円にカット加工する。ランナーから部品を切り取る以上の加工を指示される(!)。半割にしたポリキャップをことでコックピットとの干渉を避けて胴体に内蔵し完成後も着陸脚を差し替え可能にしている。

 差し替えする着陸脚は地上にいる時の自重で沈みこんだ状態と、飛行中の伸びきった状態の2種が付属。さらにオプションの「雪ゾリ」装備も選択して組むことができる。

 パイロットをのせて胴体を貼り合わせると、このヘリコプターの細さが際立つ。幅約1メートルの胴体からエンジンや小翼が最低限はみ出すようなスタイリング。

 キャノピーの開閉は選択式。ええ!君、そんな風に開くの!?同じく各部のハッチは開いた状態にも組めて内部メカを拝むことができる。

 基地内での移動を受け持つトーイングトラクター。簡素なオマケというようなことは全くなく、あくまでもこのキットが属する「1/72ミリタリーモデル」シリーズの1アイテムとして作りこまれた精密な内容。

 誘導員のフィギュアもついてきてキット一式を並べるともうそれだけでちょっとした情景。トラクター自体はSFっぽさは微塵も無い存在ですが、それが逆にOH-1の持っているSF的、近未来的(20年以上前からいるのに!)とでもいうべきルックスを強調してより味わい深いものにしてくれます。「このOH-1、実在するのにリアルだなぁ……」などというトンチンカンな感情がさらに加速する。ホンモノが存在するって面白いなぁ……。
 みんなも好きでしょう?自衛隊の、独自技術の、ケレン味溢れた……そんなメカ。フィクションじゃなくて実在しててもう20年以上現役で評価も高い。とにかくなんかそういうヤツ。いそうで、いなさそうで、実はいた。OH-1まさにニンジャのような存在……。そんな「現実は小説より奇なり」を手にできる。ニンニン。

HIROFUMIX
HIROFUMIX

1983年生まれ。プラモデルの企画開発/設計他周辺諸々を生業にしています。