

PowerPointで描いた楕円形に翼が生えたような──百式司偵III型という飛行機を知ったときはおどろきました。同時代の爆撃機や現代の旅客機ともどこか違う、タマゴ形のヌルンとしていながら精悍なスタイルに、「飛行機ってこういう形にしてもいいんだ……。」なんて感想を抱いたように記憶しています。
それを再び思い出させてくれたのは、雑誌の裏表紙広告でした。しかも戦車模型の雑誌です*。そこには、あの百式司偵と「AFVの技を飛行機モデルで」というコピーが。戦車模型の各種技法が飛行機に活かせる旨が連なり、「いつもとは違うジャンルへの挑戦で技術の幅もいっそう広がるでしょう。」と締められています。ほう……。
*)月刊アーマーモデリング No.298 2024年8月号(大日本絵画・発行) 裏表紙広告(株式会社タミヤ)

というわけでその箱が目の前に。先ほどの広告からもお気づきでしょうか、1:48百式司偵と軍用車両をセットにしたパッケージで、キット自体はそれぞれ既発の名作です。ここしばらく店頭で見かけづらくなっていた百式司偵III型とともに、日本軍の4WD軽車両・くろがね四起がなかよくひとつの箱に収まっています。
わたしの場合はあの広告と逆で、ふだんは飛行機漬け。百式司偵はいつも通りおいしくいただきつつ、くろがね四起で「技術の幅もいっそう広がるでしょう。」の真偽のほどを味わってみようというわけです。

まずはお目当てのタマゴ型から。PowerPointの楕円形と思っていた機体も、プラモと向き合ってみればなるほど意外な表情を見せてくれることに気付きます。研ぎ澄まされた実機デザインと同じく、このキットもむやみに複雑な構成にすることなく要所をキリッとおさえる引き締まった内容です。「胴体めちゃ細い!」とか「窓部分こんなに大きいの!」なんていちいち驚きつつ、さくっと形になりました。

さて、百式司偵を乾かす間にくろがね四起。小柄ながら強い吸引力で、気付くと熱中していました。AFV、ひいては車両のプラモはセオリーも裏技も知らないゆえ「説明書どおりに進める」に徹することになるわけですが、逆にそのおかげか迷わず無心に没頭していく感覚です。しかもたしかに、飛行機模型でのTipsが活きる場面も随所にありそう。このくろがね四起が、それに応える素直さを持つことも大きいのでしょうね。

ふたり揃ってゴールイン! 百式司偵はやっぱりものすごい楕円形。くろがね四起と人形が寄り添うと、その巨大タマゴ感がいっそう強調されるようで面白いですね。2つのキットは完全に独立しているので、それぞれ別々に組んだって何も問題ありません。それでも自然とゴールに向かって足並みを揃えたくなっちゃうのは、セットの魔力でしょうか。
「技術の幅がいっそう」広がったかどうかはまだ分かりませんが、車両を組む魅力については確実に覚え込んじゃいました。エッジの立ち方が飛行機と異なるからか、一味ちがう陰影がみるみる出ていくのも面白いところです。あの裏表紙にまんまと乗せられている感覚もありますが、いずれにせよ新しい魅力に気付けたのは事実。この流れで戦車もやってみますかあ……なんて思っているところです。