
映画にゲームに擬人化に。さきの大戦を無事生き抜いた「日本海軍駆逐艦 雪風」はとても人気があるモチーフとなり、模型でも様々なスケールや解像度でリリースされました。アオシマは、タミヤ、ハセガワと共に3社で展開する「喫水線上を立体化するウォーターラインシリーズ」でも雪風を担当。シンプルで味良い雪風をリリースしています。


喫水線上の立体化をウォーターラインというのに対して、艦底まで完全に立体化するアイテムをフルハルモデルと言います。模型を並べると実物の港に並んだような姿になる喫水線上の姿に対して、鑑底からスクリューやプロペラまで再現したフルハルモデルはその艦船ひとつにしっかりフォーカスしたような姿になります。どちらの考え方も面白い、これが艦船模型の良いところ。

アオシマはこのフルハルモデルをつくるにあたって、ウォーターラインに艦底のパーツをつけるのではなく、側面がつながったスタイルにしています。艦首のすらっと上がっていくラインがぱっとわかって良いパーツ。

つまり、ウォーターラインとは上部構造物を同じにするだけで、船体パーツは完全に作り直しているんです。アオシマはフルハルではこのスタイルを貫いていて、一部キットでは「フルハルの方がパーツが良いから、ウォーターラインにカットするぞ」なんて凄い話があったぐらい、本気だったんです。

フルハルの組み立ては船体がズレないように、艦船の隔壁のようなパーツを取り付けて固定します。実物よりは少ないですが、艦底があることと並んで実感を高める要素になっています。

船体が完成。下に台座パーツをつけることで、より豪華に、そしてスクリューなどのパーツが破損しないように高さを稼いでいます。この部分がウォーターラインと違うパーツで、まさにフルハルのキモなのです。

パッケージの左上に描かれたとおり艤装も新パーツが入っています。連装砲、魚雷発射管、機銃、探照灯、錨……。アオシマの新装備がどこまでも精密さに貢献し、単艦で飾るだけのパワーを注ぎ込んでいます。


同じ1/700でも、後ろを見れば水中にあるスクリューが見える。これだけで全然印象が違うものです。中央部の四角い船体から、艦首ではちょっとつまんだようなもっちり形状、艦尾にもすらっと伸びる曲線。船体の曲線美をこれでもかとアピールしていますね。

舷側にたくさんの機銃を備え、1945年の雪風は空の脅威へと対応する姿になりました。雪風のドラマを思いながら、リッチなこのフルハルモデルを製作する……それもまた、豊かな時間をもたらしてくれるでしょう。