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超絶マッチョなアメリカの艦上攻撃機、スカイレイダーをビッグスケールのプラモデルで味わう!/造形村 ダグラス AD-6 レビュー

 レシプロエンジン一発のプロペラ機として史上最大最重量級の飛行機。それをめっちゃ大きな1/32スケールで味わえるのが2011年に発売された造形村のSWSシリーズ第3弾「ダグラスA-1H 海軍型」です。これにシーブルーの塗装を採用したAD-6としてVA-104とVA-155のマーキングに加え、ガルグレー/ホワイト塗装のVA-165とVA-176も同梱し、さらに多種多彩な爆弾やロケット弾をセットした「ダグラス AD-6(A-1H)スカイレイダー」がつい先日発売されました。

 戦後生まれのスカイレイダーですが、その大きさを真面目に数字で見てみると、幅15.25m、全長11.84mとあります。対して、だいたい10コくらい年上の日本海軍が真珠湾攻撃に使った九七艦攻は幅15.518m、全長10.3mとあります。これだけ見ると「スカイレイダーってそんなに大きくない……?」と思っちゃいますが、プラモデルのハコから出てくるパーツのひとつひとつは信じられないくらい巨大です。

 それもそのはず、スカイレイダーの全備重量は九七艦攻のおよそ2倍、それを持ち上げるエンジンの出力は3倍。胴体は太くて背が高く、翼は頑丈でやたらと分厚い作りになっています。おまえもうそれは爆撃機じゃねーか、というくらいの重さの爆弾やロケット弾(あるいは魚雷やキッチンや便器)を吊るして運ぶものすごくマッチョな飛行機を隅々まで知りたければ、このプラモデルはもってこいのアイテムです。

 エンジンのパーツだけでこの直径。組んだらまったく見えなくなってしまいますが、一本のクランクシャフトを掴んでぶん回すピストンの彫刻!しかもライト R-3350エンジンはこの星型9気筒が2枚重ねになって排気量55リッターですよ。組んでるだけで「これが強くなかったらウソでしょ!」って思わず惚れ惚れしちゃいます。

 プロペラ機のプラモデルって、「ちょうどいい大きさ」があると思うんですよね。それは単に手に持ったときに大きい小さいというより、パネルラインやリベットなんかの心地よいと思える密度感が縮尺によって変わるから。飛行機には実物がありますから、ロボットプラモみたいに「なんか間がもたないからパネルライン増やしとくか……」というわけにはいきません。

 表面積が大きくて合理的な設計でまとめられているスカイレイダーの場合、1/32というビッグスケールで立体化すると「密度感が乏しくて不安なんですけど!?」と感じるかもしれません。でも大丈夫。このヌボーっとデカい感じがスカイレイダーの唯一無二の魅力なのですから……。

 ちょっと小さく作った飛行機をドラえもんの秘密道具で無理やり大きくしたような雰囲気は、プロペラや動翼の類からも味わえます。こんな巨大な直径のプロペラが一体になっているの、あんまり見たことないもん……(でもこんなふうに要所要所が一体パーツになっているおかげで組み立ては第一印象よりもずいぶんダイナミックで爽快でした!)。

 飛行機の正しいサイズを思い出させてくれるのはやはり人間が座るコクピット。シートや計器盤は飛行機が大きくなっても大した違いはありませんから、いかにこの飛行機が幅広で背の高い胴体をもっているのかよくわかります。

 そしてコクピットのすぐ後ろにある巨大な貯水槽のようなパーツがなんと燃料タンク。機体各所に燃料を配置せず、ここに全部まとめて置いておくことで飛行中の重心変化を抑えたり、被弾時に致命的ダメージを追うリスクを低減するのに寄与しているんだとか。内部構造を組んで初めて知る豆知識からしか得られない栄養がある……。

 艦載機ならではの「途中で折り曲げられる主翼」も内部の桁をガシガシと組んでから外皮を貼っていく構造。ここもそこまで神経質に仮組みをしなくてもビシバシと角度が決まり、パーツ数も見た目ほど多くないのが新鮮に感じられました。この空間にどうやって着陸脚が収まるんだろう……とか、この翼に胴体の構造がどうやって乗っかるんだろう……みたいなことも、組みながらにして学べるところがめっちゃおもしろいんです。

 造形村SWSシリーズの第1弾、震電を組んだときの感触からすると、そこからわずか2アイテムで(間に挟まったのはフォッケウルフ Ta 152 H-1でしたね)ここまで気持ちの良い組み味に到達していることは結構驚くべきことだと感じます。無理のない分割、やや余裕を持たせたハメ合わせ、比較的たっぷりとしたノリシロ、そしてなにより「見せるだけでなく、機体を内側からしっかりと支える内部構造」がそこかしこでキチンと機能していることが嬉しいじゃありませんか。

 

 付属のデカールは4パターンのカラーリングに対応しており、プラモデルではあまり馴染みのないネイビーブルーの機体も選べるのが見どころ。いわゆるコーションデータ(ちまちました注意書き)はあまり多くない機体なので、ド派手なカラーリングを爆速で仕上げられるのも推しポイントと言えましょう。

 夕食後にチマチマ……というよりも、土日のたっぷりとした時間を何回か使って組み上げるタイプの大作プラモですが、その工程の充実感と完成時のボリュームは何物にも代えられません。実際に組み上げながら見える景色は……次回の記事でお届けします。みなさんもぜひ、単発レシプロ航空機のひとつの到達点を、超ビッグサイズで楽しんでください。そんじゃまた。

からぱたのプロフィール

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

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