

飛行機模型に可動ギミックって、なかなか懐かしい雰囲気かもしれません。動かすための機構の実装と外観の正しさというのは小さな飛行機模型だと両立しづらく、たとえば主翼を折り畳む艦載機の場合は「そもそも折り畳みを再現しない」とか「選択式で再現する」というのが現在のトレンドです。しかし造形村は1/32という大きなスケールを味方につけて主翼の折りたたみギミックを正しい外観とともに再現しています。
>SWS 1/32 ダグラス AD-6(A-1H)スカイレイダー
組んでいて「すごいな!」と思うのは、折り畳みに使うヒンジの設計がとても巧みである上に、曲げ加工済みの金属シャフトも併用することでギミックの確実性を担保していること。一見とても複雑な機構に見えますが、少ないパーツ数に抑えることで強度を確保し、組み立て時の誤差が小さくなるよう考え抜かれています。主翼の折り畳み機構でいちばん盛り上がる「露出した翼の断面」も質感豊かな彫刻でセクシーに魅せてくれます。

胴体側面と下面に計3枚ある巨大なエアブレーキもパカパカ開閉するギミック入り。こちらは内側にポリパーツを仕込んでシリンダー状のパーツを差し込むことによって、適度な渋みを感じるヌルっとした動きが楽しめます。内部にびっしり並んだリベットはツルツルの機体表面と高コントラストで「おお、無骨なメカなんだな」ということを思い出させてくれます。

エアブレーキ内側のプレス加工痕はちょっと表情が硬い雰囲気もありますが、しかし情報量はじゅうぶん。こんなに分厚くないと耐えきれないほどの空気の力を受け止めていると思うと、スカイレイダーの巨体が捻り出すエネルギーの巨大さと、それをコントロールすることの凄まじさがちょっと想像できる気がします。

胴体内部の桁や主翼の内部構造、そしてスピードブレーキの類を見ていると、全部フタして完成させるのはとてももったいなく感じるはずです。せっかく組み立てた(あるいは塗った)内部構造、完成後も見せたいな……という場合は半身だけ接着してもちゃんとカタチになるし、内部構造があるおかげで強度も抜群です。ただ組むだけでもすごい情報量ですから、塗装した日にゃとんでもないことになります。さらに……

胴体下面〜主翼下面に並ぶじつに15ものパイロンには燃料タンク、爆弾、ロケット弾を(一定のルールがあるにせよ)吊り下げ放題です。戦後の機体なので資料は豊富ですし、現存する機体も多数あります。厳密に実物を真似る必要はなくても、「ここにこんな巨大なもんをたくさん吊り下げた上に主翼を折り畳めるんですか!?」みたいなことをプラモデルでも演出できる(しかも別売りパーツじゃなくて同梱パーツで!)というのは特筆すべきことでしょう。

今回は機体の左側だけ外装を貼らず、エンジンやコクピット、特徴的な燃料タンク、主翼のケタなどを露出させたまま組み上げました。最後に爆弾を左右4発ずつ、ロケット弾ポッドを1つずつ、そしてセンターに巨大なドロップタンクを付けて、まさに「ほとんど爆撃機じゃないですか!」という力持ち具合を演出しています。

左側面からは緻密な内部構造が見えますが、右側から撮影すれば外装が全部取り付けられているようにも見えます。「ガワだけを貼っていくプラモデル」だとこんな楽しみかたはなかなか難しいのですが、1/32で中身まで再現されていると贅沢な遊び方が可能です。そしてなにより、展開した主翼の前面も上面もきれいにツライチになっています。可動ギミック入りなのに、ビシッと各形態がキマる……というのはキャラクターモデルも手掛けてきたボークスならではの技巧なのかもしれません。


マッチョで巨大な艦上攻撃機をダイナミックに組み上げる。しかも緻密な内部構造や楽しい可動ギミックに、てんこ盛りの武装パーツ。現代の飛行機模型のトレンドとはちょっと違う角度から実機に迫り、それを無理なく成立させているのが造形村のスカイレイダーです。かつて一度このアイテムを手に入れてハコを開け、組み立てを躊躇していた自分に伝えたいことはただひとつ。「これ、案外気負わずに組めるし巨大で楽しいプラモデルがちゃんと出来上がるよ!」ということに尽きます。みなさんも、ぜひ。