

「バルキリーのコクピットから前だけ」をプラモデルにしてきたPLAMAXの機首コレクションに、『機動警察パトレイバー』のイングラム1号機が加わった。泉野明のフィギュアと、胸像(+左肩だけ!)のアルフォンスがセットになっていて、ハンガーで愛機を見上げる情景を楽しめる。はっきりと見せたい情景が固まっているので、ロボットプラモというよりもジオラマに近い。

可動ロボットプラモではなく固定ポーズなので、どこのパーツが何になるのか分かる外装部分と、パッと見では何のパーツか判別できないメカメカしさを持った内部構造のコントラストがめちゃくちゃ楽しい。眼にあたるカメラの部分のディテールをよく見ると左右非対称だったり、メッシュホースが実機の可動を妨げないよう這っていたり、頭部を動かすシリンダーが絶妙な角度で成形されていたりするのは組んでいて驚きの連続だ。

このプラモの危険なところは、思わず塗りたくなるディテールが随所に盛り込まれていることだ。外側から見えるダクトのメッシュにスミ入れをすればそれだけで「うわ、プラモデルを作っているな!」という気分になるし、頭部を動かす6本のシリンダーに金属色を塗っていると「めちゃくちゃプラモ作ってる感じがするな!」と高まること間違いなし。手元にある筆でチョイチョイ塗るだけで量産機の”イングラム”ではなく、相棒たる”アルフォンス”になっていく感覚……と言っても大げさではない。

「結局、我々はこういうのが好きなんだよな」と思わず独り言を言ってしまう。説明書どおりに組んだらこの姿にはならないのだが、機構部やカメラをチョイチョイと塗って、複雑なディテールのところにはスミ入れをするだけでもだいぶ盛り上がり、仮組みをしては「え、これってちゃんと完成させるよりカッコいい状態なのでは?」とニヤニヤする。内部フレームが動いてナンボ、そこにディテールがたくさん入っているからリアル……みたいな話ではない。設定画にあるディテールを拾い、1/20というスケールだとどうしても見えてしまうところをちゃんと設計していくことで自然とにじみ出る「メカバレの美学」がここにはある。

なんとも魅惑的なシリンダーたちも、首を取り巻くカバーのパーツを上から被せればほとんど見えなくなってしまう。「中身もちゃんと再現されているので、整備中の風景を作りましょう」……なんて野暮なことは言わない。いつどこで手を止めてもカッコいいイングラムがここにあり、そして完成しても腕や下半身はそこにない。未然に至る道程の楽しさと、完成のその先に広がるイマジネーション。機首コレクションシリーズは、まるでサモトラケのニケのようにあなたの想像力を掻き立てるのだ。