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史上初、「泥水のプラモデル」が見せてくれたリアル感ハンパないベトナムの水牛ジオラマ。

 水牛のいる風景をプラモデルにした「1/35 ベトナム 水牛セット 1960年-1970年代」のパッケージを開けると、ハコのボリュームに対してパーツがめちゃくちゃコンパクトに収まっている。ガッカリしてはいけない。プラモデルのワクワクはハコの大きさに比例するし、パーツの小ささは楽しさも小さいことを意味するわけではないことをみなさんにお見せしよう。

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 牛、わかる。水面下をぶった切った状態の牛と、もう一頭ちゃんとまるまる入っていた。オッケーオッケー。どうして胴体と首部分をわざわざ分割したのかちょっとわからないけど、尻尾やツノもちゃんとパーツになっていて、まあこれは組めば牛になるでしょう。

 牛飼いのベトナム女性。身長が低いのでだいぶ幼い印象。編笠(ノンラーと呼ばれる)も付属していて雰囲気はバッチリ。牛を引っ張るための綱を再現するための紐もパッケージには入っていました。じゃあこれでこのプラモデルはおしまい。あとは組んで自由に配置してね……ではない。土台がある。

 コーヒー牛乳みたいな色の地面パーツ。奥側は土のテクスチャ。手前はツヤありで波紋が刻まれた水面のテクスチャ。プラスチックはちょっと透過しているんだけど、なんでコーヒー牛乳みたいな色なのか一瞬考えた。そうか、これ、泥水の色なんだ!史上初、「泥水のプラモデル」ですよこれは。なるほどこれに牛やベトナム女性牛飼いを配置してねってことか。じゃあこの備長炭みたいなパーツは何だ。

 どう見ても備長炭。脱臭しているのか?しかし端が45度にスパリと切り落とされていることから懸命な読者諸氏はお気づきのはずだ。これは4本の備長炭(備長炭ではない)を組み合わせることで先程の地面パーツを載せる土台になるのである。すなわち箱に入っているものでジオラマとそのベースが完成してしまうということだ。パッケージイラストからは読み取れない情報だった(一応ハコ側面には内容物が記載されているが組み上がった状態の画はない)ので、いきなりテンションが上がる。

 ちゃんと木目のついた「立ち上げ」があり、額縁のように落ちくぼんだ状態ではなく一段高いところに水と土の情景が浮かび上がる設計。しかも水と地面という2つの要素を斜めに配置しているのがセンス抜群。ここまで接着剤なし。パキパキとはめ込んでいけばOK。すべてのプラモデルがこうなっていればいいのに!と思うくらいの優しさだ。自分でジオラマのお膳立てをするのは大変だけど、こうしてベースがキットに入っているというのはやっぱり嬉しい。

 まずは仮配置。なるほど、水面の質感は抜群だ。ツヤありだから表面の波がテリテリと光を反射していて、水牛がゆっくりと歩を進めているのもわかる。奥側の土の大地がコーヒー牛乳色のままではもったいない。手近にある土っぽい素材を塗りたくり、その上に草っぽい素材を撒き散らして地面にしよう。構える必要はない。

 めっちゃいいじゃん……。あとは気が向いたときに牛や牛飼いを塗ろう。水辺の風景って自分で作ろうとしたらすごく手間だけど、こうやってプラスチックで用意されているのを塗ればいいなら最高だよね。そしてほんのり透けたコーヒー牛乳色のプラスチックでしか出せない水面の実感、ハンパない。ビバ、水牛。泥水のプラモデルがこの世に生まれたことを、心の底から祝福したい。

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からぱたのプロフィール

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

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