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置くだけで景色が生まれる、「水平にスライスされた水牛のプラモデル」

 気持ちよさそうに水の中を歩く水牛のプラモデル、ちょうど欲しかったんだよな〜!背中に何かしらの水鳥が休憩していればなお最高。どうですかこの悠々とした佇まい。ありそうでなかったし、あったところでこれをほかのどんなプラモデルと組み合わせたらいいんだろう、とうろたえてはいけません。ここにあり、おもしろいから、それでいい。プラモデルというのは何を樹脂にしたっていいんです。

 ゲッコーモデルという香港のメーカーが発売した「1/35 ベトナム 水牛セット 1960年-1970年代」に入っているのは2頭の水牛。片方は地面の上に立ってるんだけど、もう片方は半分水没しています。水牛を組んでから水平にスライスするのは難しいですからね。最初から水没している部分は無いものとしてパーツ化されているのが嬉しい。水鳥はどことなく『君たちはどう生きるか』を思い出させる佇まいなのがまた良い。

 インド亜大陸、東南アジアに行くとめちゃくちゃ目にする動物、水牛。食べても美味しい水牛。オレはヤク(っていうかゾッキョ)のプラモデルがほしいんだけどまだない。でも水面の上の水牛がプラモデルになるんだからそう遠い未来じゃないかも、と思えます。原型師が手で丹念に彫った造形がそのままプラモデルになってるのもなんだかいい。とにかく全体的に、いいのです。

 泳ぎ牛のパーツは鳥を除くとわずかに3つ。でも特徴をうまく捉えているし、壊滅的な失敗のしようもない。「ああ、なんかカタチができた!」という喜びを、トンチとともに味わえるのが嬉しい。塗ったらもっと嬉しいし、机にポンと置けばそこはベトナムの水面。

 1/700スケールの艦船模型の多くは喫水線の上だけが立体化されていて、「ウォーターラインモデル」と呼ばれています。飛行機は飛び、自動車は走りますが、フネは船体の下半分をぶった切るだけで「水の上を航行する」という機能が表現できます。そういう意味ではこの水牛、まさしくウォーターラインモデル。喫水線の下がないからこそ、見えてくる景色があります。思いついた人、嬉しかっただろうなぁ。そして今日も改めて、プラモデルが好きで良かった!と思わされるナイスアイディアでした。そんじゃまた。

からぱたのプロフィール

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

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