

ハセガワの『メカトロウィーゴ』シリーズや、コトブキヤのMARUTTOYSシリーズ『TAMOTU』や『NOSERU』など、プラモデルにはいま確実に、「かわいいロボット」ジャンルがあります。で、キャビコの新作『HAKOBU/RIKU』を組んで、さてメカトロウィーゴを組み合わせて写真を撮ろうかなという、まさにそのときですよ。たちまち彼らの意志を感じられるようになったんですよ。声が聞こえてきたんですよ。
これは、彼らが「ロボダッチの末裔」だという証拠なんすよ。

いわゆるプラモデルは「実在する機械の縮小模型」として扱うのに対し、かわいいロボットたちは眼の前にあるそのままのサイズの小さいロボとして遊ばれていることが多くないですか。カフェテーブルの上や旅先の風景に合わせた写真を撮ってSNSにアップする、みたいなやつな。
これ、つまり「実在するロボを小さくした模型」じゃなくて「友達」なんですよ。

『ロボダッチ』というのは1975年に今井科学から発売されたロボットキャラクターのプラモデル群なんだけど、原作となるアニメも漫画もなく、いきなりプラモデルとして登場したんすよ。主役のタマゴローは卵型のフォルムに細長い手足をしていて、海賊になったりモビルスーツに身を包んだりと、当時の子供が喜ぶスタイルを取り入れながらシリーズ展開してたのね。仲間たちのキットもたくさん出て、安価でシンプルなキットは駄菓子屋で遊ぶ子供たちにたいそう人気でしたし、弟がロボダッチの『宝島』を買ってもらったときはジェラシーで悶えましたからね。
その『ロボダッチ』のキャッチコピーは「人間だったら友達だけど、ロボットだからロボダッチ!」。ロボット✕トモダチ=ロボダッチなんですよ。

キャビコとコトブキヤのMARUTTOYSシリーズもハセガワのメカトロウィーゴも「顔がついている、かわいいフォルムの”ワーキングロボット”」という似た設定を持っていて、なにより重要なのは「原作ナシで、いきなりプラモデルとして登場した」ことと、ユーザーが「お人形遊びをしている」ことなんすよ。
始祖ロボダッチが開拓した「ノンスケールのトモダチを組み立てて遊ぶプラモデル」の様式が、ですよ。1980年代の全盛期から2002年のイマイ解散を経て途切れたと思っていたピグマリオン的な遊び方が、ですよ。この2020年代に、ロボダッチを知らない世代の人たちによって自然発生的に再現されているという事実。しかもそれが大人を中心に発生したというミステリー。ミステリー事実。

人間は「顔がついている人形」を手にすると、どうしても「そのサイズのイキモノ」として遊んでしまうのかもしれない。お人形遊びの誘惑はそれほどまでに強いのかもしれない。人間が人間であるかぎり抗いがたいお人形遊びへの誘惑。それが、『HAKOBU/RIKU』や美プラとロボダッチを時を越えてつなげる真理、血脈(けちみゃく)なんだなと思った次第なんですよ。