

いまプラモデルを買うとしたら、どこで買いますか。ネット通販か家電量販店が思い浮かぶはずです。模型店で買うなんて場合は、かなりプラモデルが好きな人ではないでしょうか。でもこれって、そもそも「プラモデルを買おう」と思っている場合の選択肢ですよね。なんていうか「買うつもりは無かったのに偶然プラモデル買っちゃった」って体験ができる場所ってあまりないんですよね。家電量販店くらいですかね。
ところが、プラモに偶然出会える場所があったんですよ。ガチャポン売り場なんですよ。

「ガシャポン(GASHAPON)」は、バンダイが製造販売しているカプセルトイの一種であり、同社の商標および商品名なんです。 で、海洋堂がカプセル用にプラモデルのランナー(パーツがくっついてる枠)を丸くした。たったこれだけのことなのに、プラモに出会える場所が爆発的に増えたんですよね。プラモデルをカプセルベンダーのフォーマットで売り出してくれたのがすばらしい試みで、模型屋や家電量販店ってそんなたくさん無いけど、ガチャコーナーってスーパーの店先にもあるから出会いの偶発性が高まったんです。
フランスの学者、ロジェ・カイヨワは著書『遊びと人間』の中で人間の遊びを4つの要素に分類していまして。その4つは「アゴン(競争)」「アレア(偶然)」「ミミクリ(模倣)」「イリンクス(眩暈)」となっております。模型・プラモデルはミミクリ遊びに含まれるんでしょうけど、ガチャでプラモを手に入れるとなるとアレア(偶然)の要素も入ってきます。

飼育員の落ち着き払った表情まで見える本気の造形にビビったよね。 海洋堂のアートプラ。なにしろフルスペックのプラモなので、パーツはニッパーなどで切り離さないときれいに仕上がらないし、接着剤でくっつけないと形にならない。この媚びない姿勢が良いのです。
「敷居が高いやろ? これがプラモや。せやけど部品も少なくしといたから、ホレ、ちょっとやってみ?」
チャレンジ魂を煽ってくる少なめなパーツ点数でありながら、完成したらすごく精巧なミニチュアになる予感がしちゃう生々しい造形。ゲートウェイとして絶妙な商品だと思うんだよね。

完成品のコレクションも楽しいけど、偶然ゲットした小さいプラモデルをウワーって組み立てて、ちょっと真剣な顔して色を塗ると、なんかイイモノができあがっちゃいました……。自分にできるかどうか難しいわっていう細かい塗り分けも、やってみたらできたっていうか、はみ出したりムラになったりしてもそれはそれで満足。見逃すことができる範囲のミスならば、自分はそれを楽しむことができる。ていうか真剣な顔して色塗ってたのにこんなにヘタな自分、ちょっとおもろい。次はもっとうまくやる。
偶然見つけたおもしろそうなガチャを回し、数種類あるアイテムの中のひとつが偶然出てくる。偶然がふたつ重なったら、もう運命を感じちゃってもいいんじゃない? あなたはこのプラモに出会う運命だったんじゃない? プラモがそう囁いてくるようじゃないですか。「初めて組み立てたプラモデルは動物園のゾウガメでした」っていうキッズが、次はティラノサウルスのプラモデルとかに挑戦してくれたらいいなって思います。人間、新しいことを始めるのは偶然の出会いからなんですよね。