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英国かぶれの午後半休はプラモデルとともに/最高のタイミングで触れるタミヤのF-35B

 「お先に失礼しまーす。」
 月曜の正午すぎ、足早にオフィスを後にし、ランチを求め街を彷徨うサラリーマンを右に左に避けながら駅へ。ゆりかもめに乗って向かうのは東京国際クルーズターミナル。午後半休を取ってでも絶対に見ておきたい空母が、たった数日間だけ寄港しているのだ。 
 駅を出て、解体作業の進む旧・船の科学館の脇を進む。船着場へ向かう遊歩道に出た瞬間、数百メートル先にありながら、あまりにも存在感のある ”彼” の姿が目に飛び込んでくる。もうこの時には、容赦なく照りつける日差しと36度を超す気温は、自分の中では些細なことになっていた。

 ついに見ることができた。イギリス海軍空母 プリンス・オブ・ウェールズ。8月に横須賀基地へ寄港した際、実は当日の朝まで見に行くつもり満々で準備をしていたのだが、急なトラブルが重なり横須賀には行けなくなってしまった。それ故に、「東京への寄港もあるよ」というニュースが目に入った時には心が躍った。なんせ、ヘタすればもう一生見ることができないと思っていたくらいだったからだ。艦体に近付いてからしばらくは写真を撮るのも忘れ、その凜とした姿をただ眺めることしかできなかった。

 飛行甲板から海に落ちるんじゃないかというほどギリギリの場所に、複数のF-35Bが駐機している。自分自身、F-35シリーズを生で見るのは初めての体験。これまで目にしてきたどの戦闘機とも異なる、複雑な三次曲面で構成されたボディワーク。有機的な第一印象を受けた一方で、各部のエッジは触れただけで皮膚を裂きそうなほど薄く尖っていた。
 短時間ながら、素晴らしい体験だった。さっきまでの非日常な光景を思い浮かべながら、再びゆりかもめに乗車する。まだ、この余韻を楽しんでいたい。せっかくの午後半休なんだ。こんな時に気軽に立ち寄れる場所…パブがあるじゃないか!

 ちょうど乗り換え駅の改札を出てすぐにHUBがあることを思い出し、久しぶりに利用することに。カウンターで1Pintのハブエールとスナックを注文してから椅子に腰掛けると、身体がかなり火照っていたことに気がついた。このタイミングで流し込むビールの美味さ、やめられないよね。

 1杯目を飲み干してからギネスビールも追加注文し、心地よい酩酊感に身を包まれていた。店を出てすぐの家電量販店に吸い込まれ、迷うことなくホビーフロアへ向かう。この最高のタイミングで、ずっと気になっていたあのキットを買おう。酒を飲みながらそう決めたのだ。

 手に取ったのは「タミヤ 1/72 ロッキードマーチン F-35B ライトニングⅡ」。ついさっきまで目の前にあった第5世代ステルス戦闘機を、その日のうちに自分の手で触れてカタチや内部構造を知りつくすことができる。プラスチックモデルというプロダクツの素晴らしさをあらためて噛み締めた。

 帰宅してシャワーで汗を洗い流し、髪を乾かすのも後回しにして箱を開けてみる。F-35Bを上下で2枚おろしにした大型パーツが存在感を放つ一方で、細かく華奢なパーツたちもランナーに点在している。一瞬、それらのパーツの組み付けに不安を感じたものの、流石はタミヤ。細かなパーツをしっかり保持できる機構や、接着剤を流し込むための糊代といった工夫から、世界中のユーザーに対する思いやりと、自社がリリースする製品に対する圧倒的な自信が伝わってくる(これを自分はよく ”タミヤの包容力” と表現したりする)。

 デカールを確認すると、左下に「ROYAL AIR FORCE」という今一番嬉しい文字が。実機を見てきたからには、イギリス軍仕様で作りたくなってしまうよね。イギリスの他にもアメリカ、イタリアの各軍に所属する仕様を再現できる分のマーキングに加え、キャノピーやフェアリングの塗装に役立つマスクシール、両面フルカラー印刷の立派なマーキング指示書も同封されている。

 タミヤの1/72ウォーバードコレクションといえば比較的あっさりしたキット構成のイメージがあったので、意外さに驚きつつも「これだけ充実していれば4,000円を越す価格設定でも安すぎる」と感じたのであった。
 「なんて贅沢な午後半休だったんだ。」この記事を勢いで書いている今もそう思う。F-35Bのキットが完成したら、撮ってきたプリンス・オブ・ウェールズの写真と一緒に飾ろう。眺めるたびに、汗だくで都内を歩き回ったこの夏の日のことを鮮明に思い出すハズだ。

たまごんのプロフィール

たまごん

ごく稀に真面目にプラモデルを作るらしいが、基本的には酒の力を借りながら夜な夜なミキシングでモンスターを生み出す等の活動に力を入れている。

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