

無茶苦茶な量のパーツを見て、少しギョッとする……なんてことはまったくなかった。なぜならプラモ売り場でその箱を持った瞬間にズシッと重さを感じたからだ。 ただ、箱にキレイに戻せない。とにかく量が多い。
AFVクラブの1/35 ショットカルは僕の興味をくすぐるには十分な存在だった。イギリスの戦車であるセンチュリオンを改造することで作られたイスラエル軍の戦車は、ショットと言う名前を新たに与えられた。聞き慣れた響きではあるが、鞭という意味のヘブライ語だ。その国の言葉で呼ばれることで、完全にその国のものになったような感じがする。その経緯になんだか惹かれてしまい、プラモデルを買ってしまった。

マイルドなグリーングレーのプラスチックに妙に心を奪われる。普段作っているプラモデルとは違う色。それに、素材感もマットな見た目でありながら、軽さを感じさせるので、これもまた違う感じ。
では、と思いパーツを照明に当てるとバッチリと光を透かす。プラスチックが薄いようだ。いちどそれを知覚すると各パーツでプラスチックが透けるところと、透けないところを見分けることができる。この透明度の違いが生み出す風合いの差が楽しい。

このショットカル、完成したら色々な素材のパーツが組み合わさった姿がとても面白そうだ。ハッチなんかはクリアパーツなのでツギハギ感がとても具合が良さそう。
そう期待したくなるのはプラスチックではないパーツもとにかく多いからだ。プラモデルってプラスチックモデルの略だよな……と目を疑いながら、ゴム製の転輪やキャタピラ、金属製の砲身とどこに使うかわからないスプリングを確認する。飛んでいく予感しか無いスプリングは袋から怖くて出せなかった。

最初のステップではサスペンションの利いた足回りを作ることになる。ここでスプリングを使うのだけど、これが本当に面白い。出来上がったものを手に掴んで負荷をかけるとグニグニと音を立てながら可動する。音がなるプラモ、初めてなのでとても愛おしい。
ショットカルのパッケージはA3サイズよりも少し小さいくらい。結構大きい箱だ。その箱の中でパチパチパーツを切りながら出来上がった足回りのパーツを並べていると、精密なものを整然と作っている感じがして結構楽しかったりする。次のステップはゴム製の転輪をくっつけるところ。たとえパーツ数が多くても、異素材の連発が次へ次へと制作を進めさせる原動力になっているプラモデルだと思う。