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人のプラモデルを塗るなら、ふんわり色を乗せるだけでも大丈夫だった話。

 それにしても、何度見てもいいコンビですね。ダボッとしたスーツの男子、外套を左腕にかけたセットアップの女子。「お願い」「かしこまりました」という声がいまにも聞こえてきそうです。正直こんなに組んじゃった状態で塗装なんかできないよな〜と思ってたんですが、とりあえず人に見えればいいんじゃないのか。塗装って、ルーズでも意外とそれっぽくなるんじゃないのか。そう思って、夕食後におもむろに塗り始めました。

 「ミニアート 1/35 自動車で旅行する民間人セット」はすごく普通のオシャレな民間人のプラモなのでめっちゃ良い。激オススメです。さて、オレはこのプラモがずいぶん気に入ったので、4人の登場人物のうち「ご婦人が大きなカバンをアニキに渡している状況」を木の台座に貼って白い下地塗料を吹き、机の上にしばらく置いときました。白い下地塗料はまあ、模型店で「サーフェイサー」と書いてあるものならなんでもいいです。

▲お顔、失礼します。

 白い下地に「肌色を塗る」のではなく、透けた茶色を軽く乗せることで肌色に見せる作戦で行きます。シタデルカラーのレイクランド・フレッシュシェイドとセラフィム・セピアをほんの数滴、1:1で混ぜて筆でさらっと乗せるだけ。自分で陰影を考える必要はありません。凹んだところは勝手に暗く、出っ張ったところは勝手に明るくなります。どちらも1本あれば一生フィギュアの顔を染め塗りできるくらいの量があるので安心くださいませ。

 ここでいつもなら服にベタッとした色を乗せるとこなんですが、いつもなんだか思ったとおりにならない。それなら今日はもう「それらしい色がそれらしいところに乗っていればそれらしく見える!」の理論に決めた。シタデルカラーにはベースとかレイヤーとかシェイドとかいろんな種類があるけど、もういいんですよお好きな色で。スケスケでも結構。ムラもどんと来い。オレが水彩の魔術師だ。筆が届かないところは……きっと完成しても見えない!

 ということで、手元にあった淡い色で服を塗り、靴はパリッと革の茶色と黒。ネクタイにぴりりと目を引く青みのレッドを載せたら、すっごくいい景色が手に入りました。靴塗ると周囲に絵の具がはみ出しますけど、それは最後にアスファルト色の塗料で覆い隠せば地面も塗れて一石二鳥。わずか40分のプレイタイムでしたが、水道水だけで薄めたり洗ったりできる水性塗料の筆塗りだからこそ、いい感じに遊べるっちゅうもんです。

 今日書いたのは塗り方というよりも、マインドセットの問題。手持ちの塗料でいいんです。それっぽい色を、それっぽいところに置いてみる。近くで見たらちょっと不安でも、少し離れて眺めると、とっても洒脱で雰囲気のいい景色になります。塗り込めば塗り込むほどしんどくなっているそこのアナタ、そもそもフィギュアを塗るって大変そうだと思っているそこのアナタ。小学生の図画工作の気分で、サッと絵の具を乗せてください。ゴールテープさえ切れれば「あれ、全然いいな?」って感覚になるはずです。そうそう、筆だけはいいのを用意してくださいね。そんじゃまた。

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からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

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