「なんですかこれ……」と思わず識者に聞きました。その名前や製法に見当もつかないと、人間は検索ワードすら思いつきません。これは柔らかく熱したプラ板と型の間の空気を抜いて密着させて複製する技法で、バキュームフォームと呼ぶそうです。
これで帆船の帆を表現しようというわけです。確かにかなりペラペラなので、ぴったりだと思います。それにしたってこの1/500 ボノム・リシャール号という船のプラモデル、プラスチックで何をどこまで表現しようとするのだろうか……って考えてしまうくらいに面白いです。とりあえずこのバキュームフォームの帆をどうしたものか。
とりあえずハサミでチョキっと切ってみたのですが。まぁ怖い。何せ失敗できない。切りすぎたらもとに戻せないし、それにガイドラインも結構あいまい。「まぁ、布だし良いか!」とおおらかに切って行きます。端がほつれないように始末するはずだから、角は丸くなるな……とかそういう具合だけは部屋にあるキャンバス地のエプロンを見ながら押さえておきます。
切ることに夢中になっていてすっかり忘れていたんですが、これ、マストとサイズを合わせないといけないですね。ぎりぎりの高さで切り出してしまったのだけど、瞬間接着剤で留めるといい感じになりました。
バキュームフォームで表現された帆はほどよい反りと、半透明な見た目が本当にキレイです。良く考えたらこうやって、薄くてほんのり透けるパーツってあんまりプラモデルでは見かけない。布地の表現と抜群に相性が良いですね。
バキュームフォーム、薄くてすごい!と思いましたが、それ以外にも船体にしっかりと入った木目の模様や甲板にボートや艦橋もしっかりと表現されているのも見逃せないです。
それに加えて、めちゃくちゃ小さい大砲や、錨なんかもあったりして、これはでき上がると立派な船になるんだろうな……という感じがします。バキュームフォームの白、船体の焦げ茶で木造船っぽさがしっかりあるプラモデルなんですが、こうやって帆や木をプラスチックで表現してやろうっていうのが本当に面白くて、完成させるのが楽しみです。