快速帆船「カティサーク」を味わい尽くすほろ酔いモデリング/お茶と国民的お菓子を添えて。

 ふらりと寄った模型屋さんでアオシマの帆船プラモシリーズの「カティサーク」を見つけたので、買ってみました。カティサークは19世紀のイギリスで建造された鉄骨フレームの木造船で、中国からイギリスへ茶葉を高速輸送するための快速帆船として活躍しました。やがて鋼鉄製の蒸気船の時代となり、活躍した期間は長くなかったものの、スマートな船体に豊かな帆を備えた三本マストは、今なお「帆船」のイメージそのものではないでしょうか。

 模型屋さんの帰り道、「そういえばカティサークってウイスキーがあったなぁ」と思い、スーパーに寄ってみました。スーパーでも買える、有名ながら安価で嬉しいスコッチウイスキー「カティサーク」。ラベルにはカティサークの絵があしらわれており、プラモとウイスキーを抱えてウキウキで帰宅しました。

 カティサーク(プラモ)とカティサーク(ウイスキー)が揃ったので、さっそく飲みながら作っていきましょう!

 船体パーツに4枚のランナー、そして帆のパーツに糸がセットされています。フルハルのディスプレイとして飾るための飾り台も用意されています。

 パーツの分割や合いは良好で、ウイスキーを飲みながらでもサクサクと組み立てられます。船体ができた時点ですでにほろ酔いになってきましたが、続けて細かい部品も取り付けていきます。ほろ酔いモデリングのいいところは、いつもなら「苦手だな」「億劫だな」「うまくできるかな」と尻込みしてしまう工程でも勇気や大胆さのパラメータが上がり、勢いでガンガン進めるところです。その代わり、繊細さや丁寧さのパラメータはガンガン下がるので細いパーツを折ったり、酔いが醒めたときに組みあがったプラモを見て「なんじゃこりゃ」と思うこともありますが、手が止まるよりは有意義なことだと思います。

 ただし、プラモは刃物や溶剤を扱うのでそれらを適切に扱えるだけの理性は残し、飲み過ぎないようにしておきましょう。水割りを数杯飲んだところで組み立ても一通り終わり、眠たくなってきたので無理せず寝ました。

 一晩たって酔いも醒め、いよいよ糸と帆を張っていきます。

 が、糸と帆を張る工程に入る前に、せっかくなのでカティサークが運んだ茶葉を想いながら中国茶で一服します。鋼鉄製の蒸気船の時代になっても、エンジンや石炭の搭載スペースが不要な帆船は茶葉をより多く積むことができ、当時は鋼鉄の船体では茶葉が反応して品質が落ちると考えられていたためにカティサークはなお茶葉輸送の主力であったのです。

 一服終わり、再びカティサーク(ウイスキー)を飲みながらカティサークに糸と帆を張っていきます。説明書とにらめっこしながら糸を張っていきますが、付属の糸は太くて使いにくく、うまく張れなかったので手持ちのミシン糸を張ることにしました。

 糸を張っていると徐々に酔いが回り、手元が狂いまくり糸をどこにどう通すのか混乱してきてきて、さらに糸を強く張りすぎるとさっき張った糸がたるんだりマストが曲がったりするパズルゲームの様相を呈してくるので「これは飲みながらやるべき工程じゃなかった!」と一瞬思いましたが、糸が一本増えるごとに指数関数的に帆船らしさがアップするのでめちゃくちゃ楽しいです。

 説明書では縦横無尽に糸を張ることになっていますが、早く帆を張った姿が見たくなってきたのと酔いが回りそれどころじゃなくなってきたので以降の糸張りは涙を飲んで割愛することにしました。

 帆はシート状のプラペーパーから自分で切り出すスタイルです。風をいっぱいに受けた形状になっており、まさに順風満帆です。

 切り出した帆を並べていると餃子を食べながらハイボールが飲みたくなってきました。

 帆をマストに接着すると、いよいよ美しいカティサークのシルエットが浮かび上がってきます。

 最後に塗装をしていきますが、今回もスプレーで一色吹いただけで楽しい色はないかな、と考えながらホームセンターの塗料コーナーを眺めていたら「チョコレート色」のスプレーが目にとまりました。

 帆船とチョコレート。

 そうです。ブルボンの国民的お菓子、アルフォートです。

 早速チョコレート色のスプレーを一色吹いてみたらめちゃくちゃ見たことある姿が浮かびました。3Dアルフォートができました。船が、風が語りかけます。「君は3Dのアルフォートの船を眺めたことはあるか」。

 カティサークのプラモを買って、ゆかりのあるウイスキーやお茶を飲んで一服しつつ雑学を調べ、最後にはアルフォートになってしまった紆余曲折ほろ酔いモデリングでしたが、カティサークが色々な楽しみ方を教えてくれた気がします。

 お酒が飲める方も飲めない方も、酔っ払いのおふざけだと思って許してください。あわよくば、みなさんのとっておきのプラモにまつわる美味しいお酒や食べ物、飲み物を色々教えてください!

C重油
@cfueloil

1991年生まれ。山口県の小さな漁港出身。大きな港に就職し大きな船を見ているうちに船の模型が作りたくなり、フルスクラッチも始めた普通の会社員。